陽子線訴訟で1億円もうかった?
陽子線がん治療センター建設を河村市長が一時凍結したことにより、施工業者の日立製作所が損害を被ったとして名古屋市に増加費用の負担を求めて訴えていた訴訟で、名古屋市が3億8,500万円を支払って和解する方針を固め和解案を名古屋市会に提案した。財政福祉委員会では、この提案を受け、市長から詳細にわたる聞き取りが必要であるとして河村市長を委員会に招致。河村市長と質疑をおこなった。
■ 陽子線がん治療センター訴訟「請求の内容」
〇 日立
河村市長がが工事を凍結したことで発生した損害金3億8,200万円を支払え。
〇 名古屋市
河村市長がが工事を凍結したことで発生した維持管理の契約金約4億4,300万円の債務が存在しないことを確認する訴え
■ 陽子線がん治療センター訴訟「和解案」
1. 名古屋市は日立に対し3億8,500万円の支払い義務
2. 市と日立は以下のことを確認する。
(1) 名古屋市と日立は運転・保守・維持管理業務の開始が遅れた機関の対価は発生しないことを確認
(2) 運転・保守・維持管理業務を行う期間を8か月延長する。
(3) 名古屋市は延長期間分の対価として4億8,700万円を支払う。
さて、河村市長は「市長が工事の一時凍結をしたことで市側が増加費用として3億8,500万円を支払う一方、日立側が4億8,700万円分の業務延長を無償で請け負うことになったことから、市は1億円の利得を得た」と主張するが、これは明らかに市民を欺く説明だ。
実際には運転・保守・維持管理業務期間が8か月先送りになっただけで、業務にかかる負担は1円も変わっていない。一方、和解案では名古屋市が3億8,500万円を日立に支払うこととされていることから、河村市長が独断で工事を止めたことによる市の損害は3億8,500万円となる。ただ、委員会では、河村市長は利得を得たと苦しい主張を繰り返していた。
なお、今日の委員会では、「日立が運転・保守・維持管理業務期間が8か月先送りになった期間の費用として市に4億8,700万円を支払うよう求めている。」と河村市長は答弁していたが、実際には、市が日立を訴えるまで、運転・保守・維持管理業務期間が8か月先送りになった期間の費用として日立から名古屋市に損害金を請求した事実はないことが明らかとなり、市長の主張はそもそも偽りであったことも確認された。「1億円もうかった」という河村市長の主張は全く市民に向き合わない不誠実な説明だ。