生態系豊かなため池が西知多道路で造成へ…

「今年でざりがにつりは最後です。」ため池の地主は寂しそうにつぶやく。

私どもが運営する道徳保育園では、子どもたちに生態系への関心を持ってもらうため、20年以上にわたって知多市の「秘密のため池」でざりがにつりに取り組んできた。竹竿の先に糸を結び、その先に鶏肉(皮)を結んで、ため池の中に投げ込むと、あっという間にざりがにがつれる。多いときには、一気にトリプルでゲットすることも。

ため池の中には、クロメダカやヤゴ、カエル、おたまじゃくしなどもいて、まさに生態系の宝庫。子どもたちにとって、ざりがにやかえるなど生態系に触れながら遊ぶ中で、自然の神秘や雄大さ、畏敬の念などを学んできた。まさにため池は子どもたちにとって「学校」だった。

しかし、ため池を所有する地主の方によると、このため池は「西知多道路」の予定地に入っており、用地買収されるためにざりがにつりは今年度で最後になるとのこと。近々、このため池は造成され、貴重な生態系は「破壊」されることになる。本当に残念なことだ。

■　西知多道路の目的
・生活交通と通過交通を分離し、通過交通の市街地への流入を抑止
・知多半島と名古屋を結ぶ高規格道路は知多半島道路と並んで2本となり、災害時等の輸送確保
・中部国際空港へのアクセスの充実とともに、知多半島の産業や経済に寄与など。

西知多道路は、確かになくてはならない道路だと思うが、生態系の保全と開発がもう少しバランスよく図ることができないのかと感じる。