原野商法の二次被害 (2)

北海道鷹栖町の原野約500㎡を300万円で購入(昭和58年)した老夫婦は、この原野を娘夫婦に相続してしまうと、再びこうした二次被害に巻き込まれることを懸念。そこで、何とかこの土地を処分できないか、再びヨコイに相談に訪れた。

■ 横井利明、原野の処分法を考えてみた。
1. 国、または北海道、鷹栖町などの団体に寄付
地方自治体は、道路用地など土地計画道路であれば寄付の可能性もあるが、固定資産税の課税がない免税点以下の土地については、寄付は困難とのこと。国への寄付も同様で、財務省のウェブサイトには「国に土地等を寄付したいと考えているが、可能でしょうか」という Q&A に対し、「行政目的がない限り寄付を受けない」と回答されている。

2. 不動産業者に売却
固定資産税の課税がない免税点以下の土地については何ら価値がなく売却は不可能とのこと。

3. 第三者に売却
この原野がほしいという第三者がいれば、「贈与」することは可能。ただ、第三者は贈与後、登録免許税の納付が必要になる。まずほしいという人はいない。

4. そのまま所有
固定資産税の課税がない免税点以下の土地であるため、固定資産税の納付の義務がなく、所有していてもコストはかからずもっとも現実的。原野商法の二次被害のはがきや電話だけ気を付ける必要がある。

■ 法改正で、相続等により取得した土地所有権の国庫帰属が可能に
さて、現在国において、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年4月28日法律25号)が審議されている。もし仮に法案が可決され、土地の所有権または共有持分を取得した者等がその土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度が創設されれば、この老夫婦から原野を相続した娘夫婦は、一定の条件はあるものの土地所有権の国庫帰属が可能となる可能性が出てきた。

ただし、国庫への帰属の承認があったときは、その承認に係る土地につき、国有地の種目ごとにその管理に要する10年分の標準的な費用の額を考慮して政令で定めるところにより算定した額の「負担金」を納付しなければならないこととされている。
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横井利明
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