世界の山ちゃんをけん引する山本久美さん

世界の山ちゃんをけん引する山本久美さんの講演「挑戦から学ぶ～困難に立ち向かうには～」をうかがった。主催は経済界倶楽部。

みそかつやきしめん、エビフライなど、いわゆる「名古屋めし」といわれる食文化の中でも、今やその代表格として親しまれている「手羽先」。エスワイフードの代表店舗である「世界の山ちゃん」は「立派な変人たれ！」と自ら変人を名乗った創業者である山本重雄氏が、ドミナント戦略を展開して名古屋市内を皮切りに関東進出を行い、世界進出を果たすなど着々と店舗網を拡大してきた。

しかし2016年に山本重雄氏が59歳の若さで突然の逝去。急きょその跡を継いで代表取締役となったのが重雄氏の妻で3人の子どもを育てる専業主婦であった山本久美さん。山本久美さんは名古屋市内の小学校で教師を務めた経験はあったものの、居酒屋の経営は全くの素人。しかし、代表就任以来、組織改革に取り組みながら業容を拡大。2019年には過去最高となる年商81億円を記録した。コロナ禍により苦戦しつつも、キッチンカービジネスなど新たな業態開発にも積極的に取り組むなど、多彩な経営手腕を発揮している。

一専業主婦に過ぎなかった山本久美さんが、世界の山ちゃんを支えてこれた理由の一つが、中学校、高校、大学と一貫してバスケットボール部のキャプテンとしてチームをまとめてきたことがあるだろう。中学では連続優勝。小学校教諭の時にも、ミニバスケットボールのクラブチームの監督を引き受け、3回の全国制覇を果たしている。

学生時代にキャプテンとして培ったリーダシップと、小学校教師として子どもたちの心をぐっとつかみ、子どもたちの能力を最大限に発揮させてきたまさに人心掌握術にあるだろう。いい講演だった。