三井石油開発による蒸気噴出事故で、党道議団の調査に同行して蘭越町へ。丸山はるみ道議と、現場視察や農家からの聞き取りにまわりました。柳谷要・蘭越町議、高木直良・ニセコ町議も同行しました。
6月29日の蒸気噴出から3週間。体調不良を訴えた方が17名になったほか、ヒ素を含む水が2000リットル漏れ出していたと、今日の調査後に発表されました。噴出直後の公表が遅かったことから始まり、住民の不安が続くのも当然です。
1枚目の写真は、ニセコ町から蘭越町への道道で現場付近が見えたもの。ここは国定公園内の道有林で、周辺の森林が変色しているのがわかります。蒸気の噴出と合わせて出ている、高濃度の硫化水素の影響と推定されます。周辺には観光名所「大湯沼」や湯本温泉郷「雪秩父」があり、硫化水素の恩恵を受けている地域でもあります。しかし、これほどまでの噴出は例がなく、まずは噴出抑制と影響遮断が急がれます。
非公開のため写真はありませんが、調査は噴出近くの工事現場へも行きました。着用した防塵マスクの息苦しさとともに、真夏日ほどの暑さですので、現場で作業されてる方の健康が心配になります。蒸気は櫓の下部で約80℃、噴出は高い時で約100mと言いますから、ものすごいエネルギー。
噴出抑制や濁水処理についての説明はマスコミでも報道されているとおりで、現状は掘削用に持ち込んだ機械などの撤収を進めて、作業環境を整備しなければという段階。先が見通せないような厳しい作業環境のなか「総力で取り組みます」との説明でしたが、急ぐためにはJOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)など専門機関の積極的な関与が必要と、現場を見て実感しました。事前調査の段階でどこまでリスクを認識していたのか、備えはどうだったのかなど、今日は現場職員の対応なので踏み込んだ回答はありませんでしたが、国と専門機関も含めて検証を進めることは欠かせません。200mほどの大規模噴出は例がなく、三井側も行政でも想定外だったと言います。とはいえ現実に噴出したのですから、しっかり教訓を引き出す必要があります。
農業への影響について、農業委員も務める椿新二・ウレシぱファーム代表から話を伺いました。本州からも問い合わせが相次いだとのことで、蒸気噴出で町全体が汚染されているかのような印象が持たれているそう。農業用水も噴出現場とは違う水系から取得しているのですが、風評の広がりは簡単に解消されないと語気を強めました。
それでも「住民の健康被害が出てるなら、まずはその対応を急いでほしい」と椿さん。影響が心配される水系から農業用水を取得している農家は、私よりも心配だろうとも語られました。実りの秋が不安になるなんて、胸が痛む事態です。三井側が責任を果たすことを第一に、行政機関でもでき得るだけの支援を望みたい。蘭越米は、長年の基盤整備や品種改良の努力によりブランド米となりました。「それが一つの事故で、こんなことになるんだから」との、椿さんの言葉を重く受け止めたい。影響のない昨年米まで買い叩かれたりする事態も、見過ごしておくわけにはいきません。ささやかながら、昼に食べた蘭越米のカレーライスを私も発信しました。
丸山道議から「これを契機に農業をやめるという農家が出ないように、私もがんばります」と話されました。水田活用交付金の見直しなど農政の課題も話題になり、私から国政にも反映すると述べました。
実害でも風評被害でも、これだけの苦難を住民に与えた三井側の社会的責任は重大です。合わせて、法制度の不備や認可プロセスの瑕疵など国や道の問題はなかったのか。しっかり取り組みたい。
【今日の句】この苦難 まず一歩でも 解消を