昭和24年1月26日に、現存する世界最古の木造建造物である法隆寺の金堂が炎上し壁画が焼損したことから、火災など災害による文化財保護の危機を深く憂慮する世論が高まり、翌昭和25年に文化財保護法が制定された。
昭和30年には、1月26日を「文化財防火デー」と定め、貴重な文化財を火災・震災その他の災害から守ることを目的に、全国で文化財防火運動が展開されている。
南区では午前10時より、桃山建築の姿を残す本殿が国の重要文化財に指定されている富部神社に、氏子総代の皆様、南消防署、呼続消防団、大磯消防団、そして地域の皆様が集まり、神社の一角で木造家屋から出火したと仮定して、宝物の避難、初期消火訓練、一斉放水訓練などが行われた。
■ 富部神社の由来
慶長8年(1603)、愛知県津島市に鎮座する津島神社から勧請されたことに始まる。
その後慶長11年(1606)、松平忠吉(徳川家康の四男)が病気平癒の祈願をしたところ、日ならずして快復し、その恩頼奉謝のしるしとして、本殿以下拝殿・祭文殿・廻廊が寄進され現在に至る。
■ 富部神社の文化財
〇 本殿
国重要文化財、1606年(慶長11年)建築、一間社流造、檜皮葺、昭和32年6月18日指定
〇 祭文殿・東廻廊・西廻廊(3棟)
名古屋市指定文化財、江戸後期、平成 8年8月21日指定
〇 戸部の車楽「高砂車」
名古屋市有形民俗文化財、享保12年(1727)建造、昭和48年2月1日指定
富部神社では今年度、本殿檜皮葺の修復を進めるほか、祭文殿、車楽「高砂車」の修復なども視野に入れるなど令和の大改修への夢が膨らんでいる。