名古屋市教育委員会の人事を担当する部署に、各区の校長会、同期・同窓の教師の団体などから、次の校長に推薦する教員のリストとともに現金など200万円余が手渡されていた問題で、先般、教員OBの方々からお話をうかがった。
「市長は『出世するために教員の団体が現金をばらまいた』ように言っているが、実態は全く違いますよ。2か月にわたって市教委教職員課の職員10人余が市役所とは別の建物で教員の人事異動に関する事務をおこなっており、仲間の職員が夜中まで働いていることから陣中見舞いとか激励の意味でカンパしているもの。また、その使途も終電に間に合わない場合のタクシー代とか夜食、打ち上げ等に利用されているもので、市長が言う『買収』みたいな意味合いは全くない。ましてや推薦する教員リストは年次や年齢順にまとめたものであり、特定の誰かを推薦するようなものでもなかった。市長の発言は実態とかけ離れており違和感を感ずる。しかし、教員人事の真っただ中に、カンパとはいえ現金を渡していたことは市民の誤解を招く恐れがあり、もっと早く見直す必要があった。」
この時期だからこそカンパしていたというのは理解するが、この時期だからこそ、市民の皆様から「買収」と誤解されないよう慎重な対応が必要だったのではないか。また、当初はカンパから始まったであろうこの仕組みも、徐々に割り当てになっていったとしたら問題は大きい。
ただ一般職員の人事と違い、教職員人事については教科とか、部活動の担当、生活指導、居住地など、人事に際し考慮する事項が多く、また、各学校においても児童生徒数によって教員定数が刻一刻変化し、異動名簿の見直しが日々行われるなど、連日深夜まで人事事務に追われる大変な部署であることも事実。こうした問題を2度と起こさないためにも、教職員課の異常な労働環境の改善や予算の配当にも光を当てる必要がありそうだ。