都知事選に考える・・都政の病根、日本の地方自治の闇

 東京都の人口は1400万人であり、2024年度の一般会計の予算規模は8兆4530億円、それに特別会計と公営企業会計を合わせた都全体の予算規模は16兆5584億円である。これは、スウェーデンの国家予算に匹敵する。また、都の職員定数は3万8289人である。 これだけの大都市の首長となると、一国の大統領並みの権限を持つ。国の専管事項である外交や国防、司法についての権限がないだけである。しかし、都政の実態は、そのような巨大さ、華麗さとは対極的な泥臭い闇が広がっている。 私は、国会議員、閣僚を経験してから都知事になった。霞ヶ関・永田町から新宿に降り立つと、そこは全く別の世界であった。同じ政治・行政の世界なのに、ここまで違うのかと愕然としたものである。国政で発揮できた能力も、有効だった手法も全く通じない。 その理由は様々である。都議会議員や都庁職員の能力や資質の問題もあるが、制度設計そのものにも機能不全の原因がある。 現代民主主義国家では、イギリスや日本のように議院内閣制を採用している国もあれば、アメリカのように大統領制の国もある。 日本の地方政治は大統領制であり、首長が有権者の直接選挙によって選ばれる。内閣総理大臣は、有権者が直接選ぶのではなく、国会の多数派が選ぶ。 地方議会の議員も住民の直接選挙によって選ばれる。 たとえば、都議会議員は「二元代表制」という言葉を声高に叫ぶ。つまり、「知事と同じように、自分たちも有権者に直接選続きをみる

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