第929号 マスクより現金が先!

 16日、安倍総理は今までの方針を転換して、国民に一律現金10万円を給付するよう、補正予算の組み替えを指示しました。

◆ドタバタの方針転換
 私は、コロナ禍による自粛が始まった当初から、とにかく緊急的に現金を国民一律に支給して急場をしのいでもらいつつ、中長期的な経済立て直しのために消費税の1年間ゼロを含めた大胆な減税政策の必要性を訴えてきました。この点で、10万円の一律給付自体には賛成ですが、ここに至る政府の迷走ぶりには「酷い」の一言しかありません。

 現金給付を渋る財務省や麻生大臣と、給付に積極的な与党幹部との間で板挟みとなった総理は、折衷案とも言える、収入が減少した一部の世帯に30万円を給付する案を目玉として、補正予算案を編成し、すでに審議の直前でした。しかし、この30万円給付案は、複雑な要件により、そもそも誰がいつ受け取れるか分かりにくく、給付想定世帯数も1300万世帯と、中途半端な案でした。結局、世論を恐れた与党の声に押し切られて10万円一律支給へと舵を切ったわけですが、そこに総理の主体性は全く見られず、どこか他人事で、後手に回りっぱなしの対コロナ政策を象徴するドタバタぶりでした。

◆遅れるばかりの現金給付
 新しい補正予算案提出には1週間はかかるものと見られ、その間、さらに経済対策と現金給付が遅れることになります。緊急事態宣言下で国民の生活が壊れる中、1週間の遅れは致命的です。国民と国会を混乱に陥れた総理の責任は極めて重いものです。

 また、緊急事態宣言が出されて早や2週間近くになりますが、依然として感染者の増加は高止まりが続いています。このまま長期的に漫然と緊急事態を続けるのか、さらに厳しい措置を取るのかといった戦略が示されるべきなのですが、それも見えません。来週には、延期された補正予算審議が入ります。私も予算委員として、直接総理を厳しく質す所存です。

◆バス事業者支援を提案
 14日には、国土交通委員会で地域交通の活性化等に関する法改正の質疑に立ちました。全国的に過疎と高齢化が進む地方で、地域の足であるバス事業者は苦しい経営が続いています。特に、奈良県のように外国人観光客が観光バスなどを多く利用していた地域では、コロナ禍によりバス事業が危機を迎えています。

 ところが、国土交通省はバス事業者支援のための、大きな予算を伴った緊急支援措置を用意していません。このままではコロナ禍で地域の足としての公共交通が失われてしまいかねません。質疑では、地域交通の要としてのバス事業への支援の必要性を大臣に説きました。

 また、今回の法改正で、地域のバス事業者間で共同経営が可能になりますが、経営の合理化が図られることで、赤字路線の切り捨てにつながるのでは、という懸念がありました。そのことについて大臣を質し、赤字の切り捨てにつながるものではないという旨の答弁を得ました。対コロナや税制などはもちろん重要ですが、こうした地域に根差した問題にもしっかりと目を向け、地道に国会活動に取り組んで参ります。

 

スタッフ日記 「貸してもいいよ!」

 2月の末、自宅トイレの棚にはペーパーが1ロールしかありませんでした。

 2月は代議士の予算委員会の準備で忙しく、満足に買い物にも行けない有様だったので、トイレットペーパーが品薄と聞いてはいたものの実感することなく過ごしてしまったのです。

 とにかく、ない。スーパーでも、ドラッグストアでも、コンビニでも、入口に「本日トイレットペーパーの入荷ありません」と貼紙がしてある始末です。

 トイレットペーパーが切れる、そのマズさたるやオブラートに包むならば「人としての尊厳の危機」、マスクとはまた別ベクトルのピンチであり、エマージェンシーレベルは最高潮、赤信号のサイレン鳴りっぱなし状態です。ひとり暮らしといえど残り1ロールはあまりに心もとなく、ペーパーのミシン目を数えながら使用する孤独なチキンレースに突入することになりました。

 そんな話をよく行く美容室ですると、お店の人が言いました。「ウチ、今ちょっと余裕があるから貸してもいいよ!手に入ったら返してくれればいいから!」。

 なんとありがたい提案でしょう。この「貸す」というのがいいのです。手に入りづらい物を「もらう」のは気が引けますが「借りる」のだったら少し気が楽です。

 思い出したのは昭和の半ばまであった、ご近所にお醤油やお味噌を借りる文化。今回のトイレットペーパー騒動をオイルショックになぞらえる向きもありましたが、こうした「良い」部分でも人の気持ちは変わらないのだなあと思いました。

 ちなみにその後、なんとか1パックの確保に成功、借りる事は回避できました!(シズ)

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馬淵澄夫
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