新型コロナウイルスの感染拡大で都市封鎖が続いていたヨーロッパでは、外出禁止や営業自粛の措置が解除され、市民生活が戻りつつある。市民は解放感に溢れている反面、これまでの生活を見直す動きも出ている。 たとえば、パリの都心ではなく、地方や郊外に引っ越し、感染拡大の危険性がある人口密集地域を避けようとする流れである。リモートワークが可能になれば、それもできる。「森の生活」が快適だとして、山に引っ込み、仙人のような生活をしようとする者もいる。 因みに、アメリカ人、H.D.ソロー(1817〜1862年)が書いたのが、『森の生活』(1854年)という本で、ウォールデン湖畔での自給自足の生活、そこでの思索の日々が綴られている。最近では、ニューヨークタイムズも、この本のことを大きく取り上げている。私の愛読書でもあり、アメリカ理解にも役立つので、一読をお勧めする。 日本でも、緊急事態宣言が解除された後、人々の生活様式は変化しつつある。 典型的なのが、在宅勤務である。職種にもよるが、情報通信技術のおかげで在宅勤務を行う人が増えている。買い物もそうだ。通販が伸びている。この傾向は都市文明そのものを問い直すことになるであろう。 人口密度の高い都市は感染症に対して無防備である。都市が世界の経済や文化を発展させてきたことは疑いえない。古代ギリシアの都市(ポリス)はまた、民主主続きをみる『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』