歴史は積み上げつくるもの

 5年前の「9・19」を忘れない総がかり集会に、アイヌ民族の先住権を考える集いなど、政治的大テーマに頭がフル回転の1日。しかし、集まれば「何かができる」という思いになるもの。元気をもらった1日でもありました。

 総がかり集会はコロナ禍のもと休止が続き、半年以上ぶりの再開となりました。スピーチする前に「お久しぶりです」と必ず口に出るほど。半年のうちに情勢が大きく変わり、安保法制を強行した安倍首相は辞職したものの、その負の遺産は残されたままです。まして菅首相は安倍政権を継承するというのですから、辞任前に述べた敵基地攻撃能力の保有にも着手していく可能性があります。

 5年前は現職だった私。国会前で夜遅くまで響き渡った「野党は共闘」のコールが、今も耳に残っています。悔しさを味わった翌日に、緊急の党中央委員会で野党連合政府をめざすとの方針を決めたときは身震いする思いでした。その5年前から見れば、多くの一致点が野党間でできてきたし、選挙協力も依然と比較にならないぐらい前進してきています。今度の総選挙で決着だとの思いは、集会に参加した方みんなの共通の思いだったのではないでしょうか。

 そして、党道委員会と国会議員団道事務所の主催でひらいた「アイヌ民族の先住権を考える集い」。榎森進・東北学院大学名誉教授の講演、紙智子参議院議員の国会報告、3人のアイヌの方からの発言など盛りだくさんの内容で、マスコミ各社も取材に来るなど大きな関心が寄せられました。私が進行役を務めました。

 昨年のアイヌ施策振興法の成立、今年の民族共生象徴空間「ウポポイ」開業など、アイヌ民族をめぐる情勢が大きく変わっています。しかし、新法に先住民族と初めて明記されたにもかかわらず、中身である先住権の具体化は不十分なまま。遺骨返還やサケ採捕などでの運動が広がる一方で、社会的には心無いヘイトスピーチなどが出されている今、政治的にも社会的にも歴史を学び直し、課題を整理していく契機をつくっていこう--との主旨で開催したものです。

 集いは初めに平取アイヌ協会副会長の木村二三夫さん、ラポロアイヌネイション名誉会長の差間正樹さん、静内アイヌ協会会長の葛野次男さんからの話をうかがいました。「大人になっても出自を口にできなかった」(差間さん)など、アイヌとして受けた差別について3人とも共通して触れたのみならず、遺骨返還について木村さんが「遺骨は魂。その尊厳を認めないのですか」と訴えたことを重く受け止めました。葛野さんはユーモアを交えながらも、アイヌであることを理由に女性とのお付き合いができなかったとの話に、胸が痛みました。

 榎森先生は、江戸時代からアイヌは違う民族として認知されていたことを示す資料を紐解き、今後については先住権の内容を1つずつ実現していくことだと話されました。紙議員は昨年からの国会論戦も紹介し、先住民の権利保障を国際水準へ早く近づけたいと党としての決意も語りました。実は党道委員会としてアイヌ関連で集いを開くのは小笠原貞子議員が現職だった時代以来ではないかというほどで、あらためて集まって語り合うことの重要さをつくづく感じました。

 「よく『アイヌの魅力発信』などと言われるが、アイヌの地位向上に『魅力発信』ということがそもそもおかしい」「差別禁止を実効性あるものとするため、条例づくりに共産党も力を発揮してほしい」「自治体へ何度も要望するなかで、今年度から担当主幹が置かれるようになった。観光ばかりの施策から、サケ採捕や林野共有にまで具体化が進められてきている」など、参加者からの発言にも学びました。大元の国政の課題としつつ、地方自治体で実践的に進められることがあると実感しました。

 このような機会を単発で終わらせず、定期的に持っていきたい。議論を10年単位で積み上げることで合意ができてくる外国の例もありますし、日本では謝罪というスタートラインもできていません。日本共産党だからできる仕事があると自覚して、アイヌのみなさんとも力をあわせていきたいです。

 【今日の句】ぶれないで 取り組むことの 大事さよ
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畠山和也
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