同化や差別の歴史を直視して

 紙智子参議院議員と昨日、アイヌ施策の課題について懇談へ。日本が国際的に見て先住権の保障が遅れた水準であること、教育や国民的認識での課題など、懇談のたびに痛感します。3月にはテレビ番組での差別表現もあっただけに尚更です。

 アイヌ政策検討市民会議・代表の丸山博さん(室蘭工業大学名誉教授)からは、先住民族の権利保障についての潮流や、民族における「言語」の位置づけなど興味深い話をうかがいました。日本のアイヌ語研究は文法などが多くを占めますが、欧米では言語の権利という側面からの研究も深まっているといいます。言語は他者がいて用いられるものですから、言語は集団としての権利であるとの指摘も納得でした。

 それゆえに「日本政府はアイヌ民族の集団的権利を保障する点で避けている」という指摘を、政府は正面から受け止めるべきではないのか。また、北海道アイヌだけでなく樺太アイヌ・千島アイヌの声も、どれだけ法制定の時に反映されたのでしょうか。さらにアイヌ女性は女性であるということも合わせた「複合差別」とも言うべき苦難を強いられてきたわけで、3年後の法改正に向けての取り組みを強めなければ。当事者の声を反映するプロセスづくりに、私も力を尽くしていきたい。

 アイヌ民族文化伝承の会など、積極的な活動を続けてきた小川早苗さんのお宅も訪ねました。始めにアイヌ文様の刺繍や着物を見せていただいたのですが、その量と質に圧倒されました。壁にかけられた大きな刺繍は1年がかりで、和人との交易で手に入れた布での衣類など歴史的価値も多くあり、家には収まらないだけに「資料館をつくってほしい」との話も正面から受け止める必要があると思いました。ウポポイはできたものの、身近なところで文化や歴史を伝える場が求められています。

 早苗さん自身もさまざまな場面で差別を受けただけに、「みんなが静かに(歴史を)学べるようにしてほしい」との言葉がとても重い。アイヌ子弟が差別を受けても口に出せず、その実態は隠れてきたともいいます。「それでも子どもたちを守ってきた大人がいました」との話を聞き、救われる思いがしました。しっかり歴史を直視する学校教育とともに、ヘイトスピーチなどにも事実をもって許さないとする世論づくりをしなければならないです。

 「多民族共生社会」と表現してほしいこと、安心してモシリホッパ(この世を去る)できるアイヌ民族の高齢者施設などなどの要望も寄せられました。世界では、略奪や同化を強いた先住民族に対する補償措置がおこなわれている国もあります。サーミ議会のように、意思決定を尊重している仕組みもあります。国際水準に早く近づけていきたい。

 【今日の句】民族の平等 今こそ問われてる
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畠山和也
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