石橋湛山など

 石破 茂 です。
 河井克行元法務大臣がそれまでの主張を一転させ、参議院選挙に立候補する妻への投票に向けた買収を認めて、議員辞職を表明しました。
 買収の意図があったかどうかは本人が一番知っている(と言うより本人しかわからない)ものですし、長期間全く登院もしないで歳費を受け取ることには納税者の理解が得られず、何故突然今の時期に、と不思議に思うのは私だけではないでしょう。
 先日の党大会では誰もこの問題に触れませんでしたが、買収の原資に国民の税金による政党助成金が含まれていたとすれば、国民や政党助成金制度に対する大きな背信であることは間違いありません。今後の裁判の過程で一連の資金の流れも明らかになるのかもしれませんが、仮にそうならなくても、この解明に自民党として真摯に取り組み、自民党の平成24年憲法改正草案にあるとおり、憲法に政党を明確に位置付け、その在り方を定める政党法の制定を目指すことが必要です。
 憲法改正のテーマはなにも第9条に限らないのであり、多くの党と国民の賛同が得られるものを優先させるべきです。それによってこそ自民党にも、憲法改正にもより多くの理解と支持が得られるものと考えております。

 党大会において、党歌「われら」を参加者全員で手話を用いて黙唱(このように表現するのでしょうか?)したのは、とても良い企画でした。当コメント欄でもご指摘を頂いたような、自己満足や偽善、その場だけのパフォーマンスに終わらないよう、今後とも取り組んで参ります。
 手話言語法の制定は喫緊の課題ですが、手話には一般の日本語とは文法や語順が異なる「日本手話」と、一般の日本語を単語や助詞、動詞ごとに変換して、語順通りに並べる「日本語対応手話」(党大会ではこれを用いました)等があり、どれを「言語」とするのかが定まっていないという問題があるようですが、多くの自治体で条例が定められていることもあり、これ以上の先送りがあってはならないと思います。

 24日水曜日は、東洋経済新報社創立125周年事業の一環である「石橋湛山と保守政治」と題するパネルディスカッションに参加して参りました。歴史家・作家の保阪正康氏、元朝日新聞主筆の船橋洋一氏という、当代随一のお二方とのパネルでしたので、背伸びしてみても仕方がなく、かえって自由にものが言えたように思います。
 「フランス革命の省察」を著し、保守思想の父と呼ばれるエドマンド・バークは、「良き愛国者や政治家とは、いかにして自分の国に現存する素材で最善がなし得るかを常に考えるのであり、保存しようとする性向と、改善するための能力があいまったものが政治家の基準である」と述べ、江藤淳氏は「保守とはイデオロギーではなく感覚である」としています。
 保守とは、大切なものを維持するためにこそ自らを不完全なものと認め、異なる意見を持つ者に対する寛容さを持ち、言論の自由を尊ぶリベラリズムがその本質である、というのが現時点で私が到達した理解です。このような姿勢によって保守されるべきものとして石橋湛山が認識していたのは、あくまで平和を守り、権力ではなく権威の体現者として国民全体の統合の象徴であらせられる陛下を戴くこの国の在り方と、五箇条の御誓文に「広く会議を興し万機公論に決すべし」と明記されたデモクラシーの精神だったのでしょう。
 湛山は公選による実質的な自由民主党の初代総裁となったわけですが、そう考えると、自由民主党の英語表記であるLiberal Democratic Partyはなかなかに味わい深いものだと思います。

 大正8年、結核による乳幼児の死亡率が高いことを憂いて公費で結核に対する医療を早急に整備すべきと指摘し、大正12年の関東大震災直後には、災害の経験を科学化せよと論じています。新型コロナや災害に対する対応を考えるにあたって、今でも示唆に富むものです。
 石橋湛山については、自主独立の外交論や憲法論など、学ぶべきことが極めて多く、今後何回かに分けてご紹介したいと思いますが、理解が浅薄な点はどうかご指摘ください。
 近現代史を学ぶ重要性を今回改めて痛感致しました。「石橋湛山の65日」(保阪正康著・東洋経済・最新刊)、「湛山読本」(船橋洋一著・同)、「戦う石橋湛山」(半藤一利著・ちくま文庫)などを是非ご一読ください。

 今週も、新型コロナウイルスへの対応で様々な動きがありましたが、小林よしのり氏とウイルス学者の宮沢孝幸・京都大学准教授の対談集「コロナ脳 日本人はデマに騙される」(小学館文庫・最新刊)は内容が濃く、多くの疑問に率直に答えるものです。新型コロナウイルスを侮るのではなく「正しく怖れる」というのはどういうことなのか、何故リスクの相対化が出来ないのか、メディアリテラシーの低さは何によるものなのか等々、皆様にもお考え頂ければ幸いです。
 脅威はウイルスだけではなく、外交や安全保障面においても中国や北朝鮮など、幾多の懸念が存在しますが、これらも「正しく怖れ」なければ日本は重大な結果に直面することになります。

 高輪ゲートウェイ駅周辺の再開発にあたって発見された「高輪築堤」跡は、文化財としての価値が極めて高く、重要文化財として指定すべきものと考えます。
 明治5年に我が国初の鉄道として新橋・横浜間が開業した際、本芝から高輪海岸を経て品川停車場までの2.6キロの間、海上に線路を敷設するために築かれた鉄道構造物で、歴史の教科書でこれを描いた錦絵をご覧になったことがある方も少なくないと思います。法律的にはさまざまな難しい課題がありますが、皆で何とか知恵を出したいものです。

 東京都心の桜も満開となりました。皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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石破茂
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