第1087号 避けて通れぬ介護の道

 約40年にわたる介護に疲れ、81歳の夫が79歳の妻を殺害してしまった事件が注目を集めています。これは老々介護の末に起きた悲しい事件ですが、子どもたちが家族を介護せざるを得ないヤングケアラーが問題になるなど、介護は誰にでも起こり得る身近な問題です。

◆奈良・生駒では
 地方の高齢化と過疎化が進む中、介護をどうするかは地域の重大な課題でもあります。要介護・要支援の認定を受けた方は、今年4月末時点で奈良市では23,134名、生駒市では5,422名に上り、トータルでは、おおよそ人口の20人に1人程度は支援・介護を必要とされている計算になり、大変な数です。

 今後も平均寿命が延びる中、増加は確実で、職員不足とあいまって、このままでは介護保険制度が破綻してしまうのではないかという声が聞かれます。

◆介護保険の限界と新しい道
 介護を必要とされる方が増加する中、どのように持続的に介護サービスを続けていくべきか、そしてそのための財源はどう確保すべきかは、決して先送り出来ない課題です。

 この点、年金・医療も含めた社会保険料負担は近年うなぎ上りの状態であり、消費税など各種増税と合わせると、国民所得における負担の割合を示す国民負担率は50%近くに上り、かつてないほど高まっています。

 こうした状況で、現在、40歳以上の国民が負担している介護保険料をさらに引き上げていくことは、現役世代の生活をさらに貧しくさせることにつながるため、賛同できません。負担を引き上げ続ける今までのやり方では限界があるのです。

 介護を受ける方の中でも、症状は様々であり、また、所得や資産状況にも大きな差があります。日本は、一定の条件の下、介護保険が適用されるサービスと、適用されないサービスを組み合わせて受ける混合介護が認められていますが、制度が複雑で、あまり利用されていません。

 比較的余裕がある方には、より良いサービスを保険適用外で受けて、サービス料を負担して頂くことを進める一方で、保険外サービスを負担する余裕がなく、症状も重い方には、保険適用によるベーシックな介護サービスの提供を保障することが、受給バランスを保つ一つの方向性です。

◆新産業と捉えるべき
 介護人材の不足は、介護離職にもつながります。

 労働集約型産業の介護はどうしてもマンパワーが必要になり、地方において人材の確保が難しい現状があります。かといって、家族だけに介護を押し付けていては、生活が圧迫される一方です。

 こうした分野こそ思い切って規制の枠を払って新技術を投入し、産業のあり方自体を変えていかなければなりません。

 リモートワーク促進や時短勤務など、新しい働き方の普及を進めて行く事はもちろん、AIやロボットなど、介護に利用できる新技術の研究開発に重点的に支援を行うべきです。

 また、介護と連動して、オンラインを利用した遠隔医療の推進など、医療面での改革も必要です。今までの、マンパワーに頼った介護・医療のあり方を変えなければ、いつまでも人材不足の問題は続くと考えられます。

 介護を今までの延長ではない、新しい成長産業と捉える発想が必要です。これから求められるのは、負担を増やすだけの後ろ向きではない、成長を実現するための、前を向いた介護なのです。

 
スタッフ日記「今年の梅雨明けは?」

 今年の近畿地方の梅雨入りは5月29日で平年より1週間、昨年より2週間も早く、5月の梅雨入りは10年ぶりとのことでした。その上、6月2日から3日にかけては我が奈良県でも線状降水帯が発生し、大雨警報も発令されました。和歌山県、三重県、愛知県、静岡県でも大雨災害が発生しました。

 7月に入っても連日九州、中国地方を中心に水による災害発生の報道がなされ、この原稿を書いている7月9日も「島根県で線状降水帯発生し、浸水、土砂崩れ、410世帯孤立」という記事が目に入ります。

 昔の梅雨の雨は、お上品にしとしとと降り、田畑を潤していたのになあ、と空を見上げ、「これでよいのかなあ」とつぶやいてしまいます。

 梅雨末期になると例年、最後の一仕事とばかりに前線が活性化し、大雨に見舞われます。十分な注意、警戒が必要です。

 今年はエルニーニョが発生していると言われています。過去には梅雨明けと同時に台風が相次いで日本列島に接近したり、8月に前線が日本列島に停滞したことにより、全国的に大雨の降りやすい天候が続いたりしたことありました。

 「梅雨明け10日」という言葉があります。前線が北に押し上げられ、太平洋王気圧に覆われて安定した天気が10日間は続く事を言い表した言葉です。

 年寄りには湿気の多いジメジメとした天気が一番応えます。早く梅雨が明けてカラッとした夏がやってくるのを楽しみにしています。でもやっぱり暑い、暑い、っていうんやろなあ…。   (スギ)

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