第1088号 汚染水のジレンマ

 政府は、福島第一原発敷地内に保管されている、汚染水を浄化処理した「処理水」を8月中にも海洋放出し始める方針です。しかし、汚染水がいまだ大量に発生し続ける中、漁業者をはじめ地元の強い反発があり、一筋縄ではいかない状況です。

◆被災地の反対
 全国的な世論調査では、放出に対して賛成の意見がやや多い結果となっています。延々と増え続ける処理水を処分するためには、海洋放出もやむを得ないと考える方がいるのも理解はできます。

 しかし、福島や宮城など、原発に近い被災地では一貫して反対の声が大きいのが現状です。長く風評被害に苦しみ、再建への道を模索してきた地元にとって、再び風評被害を悪化させかねない処理水放出は、とても受け入れられないこともまた理解しなければなりません。

◆安全と安心は違う
 政府は、処理水の安全性を強調し、放出に問題はないとの立場を採り続けています。国際的な安全基準に合致するとの報告が国際機関により出されており、確かに科学的な数値上は安全と評価できるのでしょうが、それをもって排出に問題は無いということにはなりません。

 現実には、人の感情は複雑で、例えば数値のみで魚などの食品を選ぶことはありません。イメージも含め、自らが安心だと納得したものを選ぶのです。そして、それゆえ風評被害が生じるのです。

 「安全だから安心ということにはならない」という宮城県知事の言葉通り、政府は地元住民の安心に心を砕く必要があります。決して安全だから放出は問題ないと一刀両断に切り捨てて良いものではないのです。そして、世論調査でも、処理水放出に関して政府の説明は不足しているとの意見が8割にも上っています。

◆汚染水を止めろ
 地元の反対が強い原因には、風評被害への懸念もさることながら、汚染水の今後と、原発の完全廃炉への道筋が見えてこないことへの不安があると感じます。

 今もなお、大量の地下水が原発の建屋周辺に流入し、日々汚染水が発生し続けています。

 政府肝いりで始めた、原発建屋周辺の地下を凍らせて水の流入を防ごうとする「凍土壁」も、一部が温度上昇で溶けるなどトラブルが頻発しており、流水の十分なシャットダウンには至っていません。

 いまだ一日当たり100トンとも見積もられる汚染水が発生し続けているのです。これは10万リットル、つまり1リットルのペットボトル10万本に相当する凄まじい量です。

 原発事故から12年の歳月が流れたにもかかわらず、依然として大量の汚染水が発生していることを、政策の失敗と受け止めることが大事です。

 汚染水が発生し続ける限り、処理水の放出も止まりません。今から半永久的に処理水の放出が続くとなれば、漁業関係者や地元住民が将来的な展望を持てなくなるのも当然のことです。

 政府に求められるのは、なし崩し的な放出より先に、汚染水と処理水の今後について、説得力ある見通しを示しなおすことです。その際、今の凍土壁で汚染水対策は十分ということにはなりません。

 私は土木技術者としての経験から、凍土壁という中途半端なものでは、とても汚染水の発生は止められないと主張し続けてきました。コンクリート連続壁など物理的な遮断が有効なのは技術的に明らかです。

 放出が迫る中、今が方針転換する最後の機会です。このことを、繰り返し発信し続けていきます。

 

スタッフ日記「母校の野球観戦」

 馬淵事務所でインターンを始めたばかりの大学生です。

 先日、母校の夏の高校野球を観に行きました。試合結果はコールドゲームで勝利。素晴らしい試合でした。

 私は小学校から高校までずっと野球をやってきました。

 高校野球を引退する際、「これでもう辛い練習はしなくても良い。休日も楽に過ごせるんだ。」という気持ちになりましたが、実際に離れた生活をすると何か物足りないなと思う時があるのです。辛かった練習もいい思い出として蘇ってきます。後輩たちの試合を観て、生涯スポーツとして野球をしたくなりました。

 生涯スポーツとはその生涯を通じて「だれもが、いつでも、どこでも気軽に参加できる」ものです。都市化やゲームなどの影響により、外で遊ぶ機会が減少し、体力が低下している子供から、高齢者まで、幅広い年代層が対象です。

 私は休日には本を読んだり、家でスマホを触りながらダラダラする事が多いのですが、休日にチームメイトと草野球の大会に出て汗を流し、試合が終わったら皆でバーベキュー、なんていうのも楽しいんだろうなと考えながら、仲間と一緒に何かをするというのも生涯スポーツの重要な役割ではないかと思いました。

 今の世の中、人との関わりが少なくなりました。隣の家に住んでいる人も知らないし、町内会に入らない人も増えてきております。人と関わるというのは面倒です。ただその面倒な人との関わりというものも、案外楽しいし心が豊かになると私は思うのです。(熱湯甲子園)

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