国会は、茶番としか言えない政治倫理審査会(政倫審)を経て、与党が予算案の採決を提案、強行採決も辞さない構えを見せました。裏金問題の真相を明らかにしようともせず、予算案だけ通そうとする姿勢にはあきれ返るばかりです。
◆ゼロ回答の政倫審
真相の解明が期待された政倫審ですが、裏金幹部の出席をめぐって二転三転し、最終的には岸田総理自身が出席を決めることで、他の裏金幹部も出席を決めました。総理は当初から、政倫審については国会が決めること、との立場でしたが、土壇場であたかも自分がリーダーシップを発揮して原因究明に励んでいるかのような態度で参加を求めました。つまり、真相究明の場である政倫審を、政治的なかけひきに利用したのです。
これは、裏金問題が発覚して追い込まれた際、総理が突如として自民党の派閥の解散を表明した時と同じで、政治的に追い込まれれば、論点をそらすために派手なパフォーマンスを打とうとする、岸田総理の習性を表しています。
そして、肝心の真相の究明は全く進みませんでした。安倍派のパーティー資金を利用した裏金づくりを指示していたのは誰なのか、いつから不正が始まったのかについて、結局、総理は何も答えませんでした。
リーダーシップを発揮する振りだけして、内容はゼロ回答という、およそリーダーシップのかけらもない振る舞いに終始したのです。
安倍派の事務総長経験者が複数出席した2日目の政倫審でも、真実や核心の部分が明らかにはならず、茶番に貴重な時間が費やされる結果となりました。
やはり、偽証した場合には刑事罰まで科される証人喚問を、裏金議員を対象に実施するよう求めていくしかありません。
◆パーティー禁止しかない!
一方、今後の対応については、党を代表して岸田総理に質問した野田元総理が、岸田総理の譲歩を引き出しました。質問への回答の大部分は無責任なはぐらかしに終わりましたが、岸田総理も迫力に押されたのか、ようやく最後に、在任中は、自らはパーティーを開かないと宣言しました。
岸田総理は「勉強会」と自称する政治資金パーティーを2022年に7回開き、約1億5000万円を売り上げていたことが発覚しています。
パーティーに明け暮れ、荒稼ぎした資金を派閥によっては裏金化することに国民が怒っている以上、今後のパーティー禁止は当然です。岸田総理自身がパーティーを開かないと宣言したのですから、当然、全閣僚もそれにならうべきですし、「派閥のパーティー禁止」などという自民党の中途半端な案も見直しが必要でしょう。
われわれ立憲民主党が強く主張している、全ての政治資金パーティーを一律禁止する案に、自民党も賛同すべきです。パーティー禁止の是非は、今後、与野党間の大きな争点になりそうです。
◆「自爆解散」あり得る
今国会で分かったのは、岸田総理におよそ世間的な常識は通用しないということです。常識的に考えれば、それは無いだろうということも、追い込まれれば意表を突いてどんどん仕掛けてきます。よって、内閣支持率が最低を更新し続け、自民党支持率も政権復帰後最低の今、近々の解散は無いというのが「常識」でしょうが、今国会末にも「自爆解散」に出る可能性が高いと思っています。
しかし、これは国民にとってはむしろプラスです。いくら政倫審や予算委員会を開いても真実が明らかにならない以上、裏金問題への審判は国民に下して頂くしかないからです。
スタッフ日記「噓つきは泥棒のはじまり」
子供の頃、嘘を言ってしまった時に、「閻魔さまに舌をひっこ抜かれるよ」とか、「嘘つきは泥棒のはじまり」などと家族からたしなめられたことはないでしょうか。
子供は経験が少なく、即座に理解できる範囲が限られていますので、絶対にやぶってはいけない社会のルールを端的に諭してくれたのだと思います。
舌を抜かれるのはとっても痛そうだし、泥棒にも一生出会いたくありません。嘘をつくのはいけない、と即座に思いました。一方、子供の私は「嘘」と「泥棒」の間にはかなり隔たりがあるようにも感じ、嘘をついた私はいつか泥棒になってしまうのかしら、という不安も残りました。
今あらためてネットことわざ辞典を調べますと、「嘘をつけるような人は盗みも悪いと思わなくなるという例え」とあります。嘘をつくことに慣れると、徐々に、本人も気が付かずに、道徳心が浸食されていく。怖いですね。
最近のマイブームは「逆さまにみてみる」です。「嘘つきは泥棒のはじまり」、これを時系列を逆さまに考えてみます。
嘘をついても次の日に泥棒になるわけではないと思いますが、泥棒までいってしまった人たちは、かなりの嘘をつき、つき続けていることになります。
裏金問題などで口を閉ざす人たち、その人たちが、真実を明らかにしないことで、明らかになってきていることがあるように感じます。(ななリターンズ)
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