第1154号　給付金は必要か？

政府は、物価高対策として、住民税非課税世帯に3万円を給付することを計画しています。

◆不公平感の理由は

この給付金案に対し、共同通信の世論調査では67%が評価しないと答えています。103万円の壁を引き上げることによる事実上の減税策は多くの国民に恩恵があるのに対し、一部の世帯のみを対象とする給付金案は、公平性を欠くと考える国民が多いことだと思われます。

コロナ禍以来繰り返されてきた住民税非課税世帯への給付は、収入が低い世帯を対象としてきましたが、例えばすでに引退し、収入自体は低いものの、資産を十分に蓄えている高齢者世帯も多く存在します。こうした、生活に特に困っていない世帯にも3万円が給付され、逆にそこそこの収入がある現役世代は無視されるというのであれば、不公平を感じるのも理解できます。

また、給付金の給付方法にも、根強い不信感があるのだと思います。

郵便による申請など面倒な手続きが必要で、それでいて実際の給付までは数か月かかることが多く、本当に困っている時にお金が届かないことや、対象世帯に3万円ばかりを配るのに毎回数百億円の事務手数料がかかり、結局それは国民負担として返ってくるとあっては、給付金そのものへの不満が生じ、「配るくらいなら最初から取るな」という声があがるのも当然でしょう。

◆給付金自体は必要

しかし、私は困窮する世帯に対して、生活を支えるための給付金制度自体は必要だと考えています。日本は暮らしを支えるためのセーフティーネットが貧弱で、生活保護制度はありますが、利用するためのハードルは高く、いったん生活保護を受けるようになれば、なかなかその生活から脱却することは困難になります。

そして、生活保護に至るほどではないものの、日々の生活に困っているという世帯は、そもそも多額の税金を納めているわけではないので、減税措置だけでは手取りがさほど増えず、一定の現金給付が必要で、それがセーフティーネットとなります。

誰もが収入の急減に陥る可能性がある以上、一時的に生活を支える給付システムを整備しておくことが大事なのです。

 

◆新システムで迅速な給付を

給付の大きな問題は、給付業務を実際に行う自治体が、世帯ごとの収入や資産状況を把握するのに時間がかかったり、手続きが煩雑なため、本当に支援を必要としている層に迅速に給付金が届かないことです。

私はこの問題意識をもって、内閣委員会で何回も質疑を行うとともに、国(国税局)と地方自治体が情報を連携して把握し、複雑な手続きなしに迅速に給付が行える新制度を提案してきました。

今、ようやくデジタル庁を中心として、納税者の迅速な納税額算定や自治体による給付支援に応用できるシステム開発が進行しており、自治体のシステム加入も徐々に進みつつあります。

この新システムを統一的に給付に応用すれば、例えば急に収入が減少した現役世代に迅速に支援を行ったり、逆に十分な資産を持つ世帯への給付を省くといった柔軟な措置が可能となり得ます。そして、自治体の負担も大幅に減少し、事務手数料も削減できます。

私はこうした給付金システムを「くらし活性化給付制度」と呼んでいますが、今までのようにとりあえず適当にバラまくのではなく、国民生活の実態に合わせた、迅速かつ的確な支援の構築が、一つの大きな社会保障政策となり得ると考えています。

 

スタッフ日記「柿食えば」

総選挙が終わって、国会事務所に戻りました。奈良からまん丸で美味しそうな柿をいくつか頂きました。柿食えば鐘がなるなり法隆寺。奈良で過ごした10月、3週間の印象を書いてみます。

奈良は盆地。山が近い。

春日山、生駒山。山が見えていると心が落ち着いてよいものだと思いました。風景で東西南北や位置関係がわかるのも便利な気がします。

奈良県第1区は24号線を境に奈良市東部、奈良市西部、加えて生駒市。地図をみながらの作業もわかりやすかったです。

柿の葉寿司がおいしい。

東京ではデパ地下にいかないと買えませんが、奈良は駅頭で販売しているところもあり驚きました。近鉄奈良駅で買って食べてみたところ、作りたてだからでしょうか、奈良の空気でしょうか、普段とは味がちがう気がしました。

通勤時間帯の電車が比較的すいている。

東京都心に向かう電車は、車内の混雑はもちろんのこと、ダイヤも詰め込まれています。2-3分おきに発車する感じでしょうか。

便利なようですが、この弊害は「間隔調整」です。電車と電車の間隔を一定に保つため、減速・加速を繰り返すので車内は結構ゆれます。満員電車の中でバランスを保ち立ち続けるのは結構な体幹の訓練になります。

いま奈良は紅葉のただ中でしょうか。季節の恵み、楽しみたいですね。

（ななリターンズ）

The post 第1154号　給付金は必要か？ first appeared on 馬淵澄夫（まぶちすみお）奈良県第1区選出 衆議院議員.