第889号 押し寄せる外交危機

 日米貿易交渉、米中経済摩擦、ペルシャ湾周辺での日本タンカー襲撃事件など、日本を取り巻く国際情勢が厳しさを増してきています。

◆トランプ要求を丸呑みか
 5月のトランプ大統領訪日は、安倍総理の過剰とも言える「接待」に終始し、注目された日米貿易交渉の結論は、参院選後の8月以降に先送りされました。トランプは日本に、農産物の市場開放を強く求める一方、日本車には厳しい態度を示しており、選挙後まで厳しい結論を先延ばしして、政府与党に「恩を売る」ことで、逆に大幅な譲歩を引き出そうとする姿勢が垣間見えます。

 日米間では、日本の譲歩は、過去の他諸国との経済連携(TPPを念頭)が最大限との声明が出されているものの、トランプは、TPPには縛られないと述べ、更なる譲歩を求める構えです。また、総理が近々望んでいると思われる北朝鮮との日朝首脳会談も、アメリカの意向に依存する状況です。

 今のままでは、選挙が終わった途端に、アメリカ産農産物の受け入れに関しては要求を丸呑みし、一方で日本車の対米輸出には規制が課されるといった、日本だけが損をする結果となりかねません。

◆迫る経済危機
 米中経済摩擦の日本経済に対する悪影響も深刻です。安倍政権下では、確かに輸出大企業は大きな利益を確保していましたが、それは好調な米中経済に後押しされてのことでした。一方で、基本となるべき内需の拡大は、消費税増税などで抑制されてきました。安倍政権の経済政策は、いわば、好調な外需に依存し、内需の拡大を置き去りにするものだったと言えます。

 そうした依存構造の矛盾が、米中対立による世界的な景気後退により明らかになろうとしています。外需が不振に陥り、それをカバーするべき内需も拡大せず、全体として大幅なマイナスとなる経済危機が迫っているのです。

◆安保法制とペルシャ湾周辺有事
 安倍総理がイランを訪問していた13日には、ペルシャ湾周辺で日本のタンカーが攻撃を受ける事件が発生しました。この攻撃について、アメリカはイランが関与したと主張し、非難しています。この事件は、安倍政権が強引に成立させた安保法制とも密接に関わってくる深刻な事態です。

 今のところ政府は自衛隊を派遣する考えはないとしていますが、アメリカ・イラン両国間に緊張が高まって、万が一武力衝突の事態に発展し、日本の石油輸入ルートが危機に瀕すれば、アメリカは日本に相応の負担を要求してくる可能性が十分にあります。日本はアメリカの要求に応じ、中東での紛争に関与するのか、そしてそれが憲法上許容されるのかについて、野党も、再び安保法制の是非と絡めて国会で問うていかなければならないと考えています。

 このように、貿易、安全保障の点で外交危機が押し寄せています。安倍外交のひとつひとつを検証していくと、アメリカとの友好ばかりがイメージとして強調され、北方領土など具体的な課題が未解決になっていると言わざるを得ません。参院選でも、外交を争点に、成果の検証に基づく緻密な論戦が必要だと思います。

 

スタッフ日記「ネクストステージ」

 人生のそれぞれのステージに立って自分自身と向き合う、そんな場面が何度かあります。秘書となり仕事に追われる毎日を言い訳に、その機会はあまりに少なかった気がしています。その意味では、2018年という年は多くの出来事が一瞬の間に過ぎていった中で、まさに“選択”の一年でした。先日、誕生日を迎えて30歳となり、あらためて、今日までとは違う人生の歩み方を考えなければいけない、とふと感じる瞬間がありました。

 30歳と一言にいっても、テニスプレーヤーの錦織圭選手やボクシングの井岡一翔選手などスポーツ界ではその第一線で活躍する著名人も多く、経営者としてビジネスの世界を突き進む同級生や、20代最後に転職し人生の選択のきっかけとする友人も少なくありません。勿論、家庭を持ち、子どもの送り迎えをしている、そんなことが当たり前の年齢とも言えるかもしれません。

 10代、20代とは違う、ある意味でネクストステージとなるいま、体力的にも、精神的にも、そして先の時間軸もその幅は今までとは違う視点で考えていく必要性を感じています。自身の意見や考えが求められてきた20代から、他人の考えや意見から新しい価値観を見出すことで、人の人生を想像する力を身に付けたいと考えています。社会を支えていく責任とこれからの世代へと担う責任その両方から、覚悟と一歩を踏み出す場面もあるはずです。違う意見や考えに対して、何か一つの答えを出していく。恐れずにその先の一歩を踏み出す、そんな日々の積み重ねの一年にしたいと思います。(特命係長)

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馬淵澄夫
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