第928号 名ばかりの緊急事態宣言

 新型コロナウイルス感染者が激増する中、政府は7日にようやく東京都、大阪府などを対象とする緊急事態宣言を出しました。

◆感染拡大は止められない
 3月下旬より顕著な感染者増加が見られたにもかかわらず、手をこまねいて宣言が遅れたのは政府の失敗だったと言わざるを得ませんし、その内容も中途半端極まりないものです。

 私は、緊急事態宣言が発令された場合、外出の強い自粛と感染症法上の交通遮断を組み合わせることにより、日本型のロックダウンを発動させるのではないかと予想していました。しかし、現時点で交通の制限や遮断は行われておらず、店舗の休業要請も対象範囲を巡って政府と自治体の足並みが乱れています。ロックダウンによる経済縮小を恐れる官邸と、補償費用や税収減を警戒する財務省の意向が一致して政府の方針となり、規制に前のめりな自治体を押し切っているというのが現状ではないかと推測します。

 結果として、コロナの感染拡大防止には、人と人との接触を7割から8割減少させなければならないにもかかわらず、現状では3割から4割程度にとどまっていると見られます。これでは感染の拡大を食い止められず、徐々に感染者が増加する現状が長期にわたって続き、問題を先送りすることになります。緊急事態宣言は、最大1年間延長が可能ですが、長期にわたれば経済面の悪影響は計り知れません。

◆給付金も出し惜しみ
 コロナ対策としての緊急経済対策の概要も明らかになりましたが、規模・スピード面で明らかに不十分です。対策総額108兆円を唄いながら、目玉にすべき現金給付は6兆円超にとどまります。また、給付金支給対象は限定され、多くの国民は給付金を受け取れず、また、対象を絞り込んだことで複雑な申請が必要となり、生活支援臨時給付金のように即時給付が必要なものも、早くても5月下旬以降になると見られます。

 さらに、消費税減税に至っては検討事項にすら上がっていません。これらの背景には、財務省がこの期に及んでまだ、財政均衡に固執している様が伺えます。

◆ロックダウン法が必要
 西村コロナ対策担当大臣は、このまま効果が見られなければ、より厳しい措置を行うと表明していますが、感染ペースを考えると、2週間後には東京だけで1万人を超える感染者が出ることも想定される中、悠長な方針と言わざるを得ません。また、より厳しい手段を取るにしても、日本で欧米型のロックダウンを実現させる根拠法は無く、現時点では、交通の遮断も72時間以内に限定されています。

 あいまいで小出しの対応にとどまらないためには、今回の新型コロナ対策に絞ったロックダウン法を作ることも検討しなければならないと考えます。内容は、期間を1か月以内程度に区切って交通を制限・遮断すること、店舗の休業とその間の一定の補償を行うことなどをセットにした法が考えられます。2週間、3週間と明確に区切ってロックダウンを断行し、その間の補償を行った方が、ずるずると自粛要請を続けるよりも被害は小さくなります。名ばかりの緊急事態宣言ではなく、実を伴った具体的立法に踏み出すべきです。

 

スタッフ日記 「緊急事態宣言下で」

 新型コロナウイルス感染拡大のため、ついに東京都にも緊急事態宣言が発令されてしまいました。

 感染防止のため、国会事務所でもリモートワークを中心とした勤務態勢に移行しています。本会議がある日などは国会まで出勤しますが、朝の通勤ラッシュ時には、今まで一度も座れなかった地下鉄にもちらほら空席が見られるなど、普段の東京の混雑さからは考えられない通勤状況になっています。

 ただ、出来るだけ密集を避けかつ換気の良さを考えてでしょうか、席が空いていてもあえて座らずに、ドアの近くに立っている人も多く、車内にはピリピリした空気が漂っています。乗客のマスク着用率は8~9割というところでしょうか。

 緊急事態宣言下で不要不急の外出自粛が求められている中でも、食事は取らなければなりません。一人暮らしの私にとっても日々の食事は外食に頼りがちになりますが、現時点でも休店している飲食店は多く、今のところ家から歩いて数分のコンビニエンスストアが食料調達のライフラインとして機能しています。今後さらに飲食店の休店が増えた場合、コンビニの食料品が品薄にならないかは少し心配なところではあります。

 5月6日までの緊急事態期間も状況に応じては延長可能ということから、なかなか終わりが見えないまま、外出自粛生活が続きます。仕事も日常生活も健康があってのこと、まずは徹底的にコロナを遠ざける生活に徹したいと思います。奈良でも感染者が増えているようで、皆さまも体調管理にはくれぐれもお気を付けください!(アタリ)

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馬淵澄夫
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