東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が女性蔑視発言の責任を取って辞任を表明しました。
◆開催ありきの五輪戦略
森会長の発言は極めて不適切なもので辞任は当然と考えますが、そもそもオリンピックを巡って森会長や政府は、コロナ禍での「開催ありき」の硬直的な姿勢を貫いてきており、政策遂行の点でも国民の信任を得ていたとはとうてい言えませんでした。世論は通常の開催が出来ると考えている層はごく少数で、調査では観客の制限、無観客での開催、中止と意見が3分割されている状況です。アメリカのバイデン大統領も開催について「科学に基づいて判断すべきだ」、「開催を願っているが、まだわからない」と述べています。コロナ禍での開催については慎重にも慎重を重ね、開催の是非について何らかの判断基準を示し、国民の理解を得るべく努めるべきですが、開会式まで残りあと5か月となった今でもそれは全くの不十分な状態です。
今回、森会長が辞任しましたが、単に会長ポストをすげ替えるだけでは大きな方向性に変化はないでしょう。政府は逆に意固地になってオリンピック開催へと突き進むことも考えられます。政府が冷静な判断を行うよう、監視を強めて行きたいと思います。
◆橿原市議選で躍進
一方、地元奈良では7日に橿原市議会選挙が投開票され、かつて馬淵事務所インターン生だった臼井卓也候補を含む立憲民主党公認2名、推薦1名、支持1名に加え、野党勢力の同志の無所属1名全員が上位当選を果たしました。コロナ禍でも投票率が約4ポイントも上がり、極めて保守勢力が強い地域にもかかわらず、こうした結果が得られたことは、菅政権によるコロナ対策の失政や経済政策への不満、相次ぐ与党議員の金銭汚職、隠ぺいと責任回避、地元自民党議員の緊急事態宣言下の不適切極まりない行動と離党などに対する怒りが、地方自治体選挙でも表れてきていることを示しています。
◆総選挙までカウントダウン
コロナ失政、オリンピック不祥事でさらに菅政権の支持率は下落が予想されます。今後の政治日程について、緊急事態宣言が延長され、さらにオリンピック開催となると、その準備とコロナ対応の両立を慎重に進めざるを得ず、解散で政治空白を作るわけにはいきません。オリンピックが終わるのは8月で、衆院議員任期は10月です。極めて珍しいことですが、4年間の衆院議員の任期をほぼ満了する形での総選挙となる可能性が高まっています。その場合、9月の自民党総裁選挙で菅総理退陣も含めた何らかのサプライズを演出し、そこから一気に解散総選挙という流れが想定できます。立ち上がったばかりの立憲民主党奈良県連ですが、今回の橿原市議選は来たるべき総選挙に向けて、非常に勇気づけられる結果でした。もちろん、引き続き市民に寄り添う政治を掲げ、党内の結束を固めて県内の各選挙に取り組み、秋までに必ず行われる衆院議員選挙で奈良の全ての選挙区で勝利できるよう、体制強化に全集中で臨んで参ります。
スタッフ日記 「新しい『場所』の再発見」
新型コロナによって人の動きが制限され、観光産業が大きな影響を受けています。そんな中、昨年8月からスタートした「いまなら。キャンペーン」は、県内のホテルや旅館などを県民の皆さんが利用することで、地元の新たな観光の魅力を再発見し、観光消費の拡大を図るねらいとして実施されています。県外への外出は自粛していると話す地元の方も、奈良県であれば少しは安心、と利用する声も多く聞かれました。
しかし一方で、地域の商店街や奈良市東部を中心とした観光地の利益の恩恵を受けにくい地域では、昨年の緊急事態宣言下よりもいまが一番の正念場と厳しい声が聞かれます。地元地域に今こそ人を呼び込もうと企画されるGoTo商店街のように、3密対策を徹底した上で地元消費型のプランを構築し、ウィズコロナの日常生活の中にも地域の新しい魅力の再発見へと繋げる取り組みは、その一つです。
分散型旅行という言葉が注目されているように、混雑を避けるために人が集中しない「時間」や「場所」を選択することが、これからの新しい観光スタイルなのかもしれません。今まで人通りが少なかった場所こそが、地域活性化のカギだと感じています。
平城京と生駒山を超えて大阪へと続く富雄の暗(くらがり)峠奈良街道沿いにある追分梅園では、2月27日から約700本もの梅の木が花を咲かせ観梅会が開催されます。閉園になってから地域の人によって、見事に復活を遂げた数年前から観梅会を再開しています。普段は知ることのできない地域の新しい「場所」を見つけに、私も地元地域で分散型小旅行をしてみようかと思います。(特命係長)
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