五輪組織委員会、電通、その深い闇

 東京五輪組織委員会の高橋治之元理事は元電通社員で、スポーツ局で長年活躍し、専務取締役まで登りつめた人物である。スポーツビジネスの第一人者であり、海外にも人脈が多い。海外に対するロビー活動など、「TOKYO2020」の招致活動にも深く携わっている。 大会組織委員会は、2014年3月17日の評議員会で34名(会長を含む)の理事を決め、上限を35名とした。そして、6月には35人目として、高橋治之が理事に選ばれている。 この人事がなぜ、そしてどのような経緯で決まったのか。都知事の私には何も知らされていないし、当時評議員として会議に出ていた安藤立美副知事、前田信弘副知事からも一切報告はなかった。都知事は、組織委員会の決定には門外漢だった。 実際には、競技施設のコスト削減などの重要問題は、森会長が都知事室に私を訪ねてこられ、二人でじっくりと議論して決めている。また、組織委員会への都庁職員の派遣については、森会長の要望をできるだけ容れる形で応じた。 しかし、高橋人事をはじめ、組織委の運営については、全く関与していなかった。私は高橋とは面識はない。つまり、スポーツを巡る政官業のサークルの人間ではないので、最初から新参者、門外漢としてしか見られていなかったようである。都知事はあまり口出すせずに開催都市東京の知事としてカネとチャンスを与えてくれればよいと、スポーツ業界は考えていた続きをみる

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