感染症の危機管理:新型インフルエンザ対応の教訓(4)官邸にごまをする役人が危機管理を失敗させる

 新型インフルエンザのときに、危機管理の障害となったのは、首相官邸であり、専門家であるはずの医系技官たちであった。前者は、序列にのみこだわり、首相→官房長官→厚生労働大臣という序列を金科玉条のものと考え、危機管理の本質を守ることを二の次に置いた。これが役人根性である。 年金記録問題、C型肝炎訴訟、原爆症認定訴訟など、官邸の役人に何度邪魔されたことか。「総理よりも格下の厚生労働大臣が目立つようなことは阻止する」というのが、官邸の役人の行動原則なのである。だから、緊急を要しようがどうであろうが、まず総理に一言喋らせることから始める。 たとえ、漢字が正確に読めなくても、軽口を叩く癖があろうが、お構いなしである。国民の命よりも、首相の見栄えを優先する。これは危機管理として最悪である。 首相や大臣の仕事ぶりを採点するのは国民である。国民は馬鹿ではない。国民の厳しい評価に耐えられるように努力するのが政治家の務めでであって、有権者は役人が考えるような序列至上主義で判断するようなことはしない。 国務大臣は、国民の命を守るためには自らの責任で決断をする。首相や官房長官が、問題になっている案件について興味もなく、問題解決能力もないとき続きをみる

『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』