上海から見る香港:「幸福な監視社会」と「不幸な自由社会」

 11月24日に投票が行われた香港の区議会議員選挙は、投票率は過去最高の71.2%と高く、民主派が8割を超える議席を獲得して圧勝した。この勝利を北京政府は苦々しい思いで見ているだろう。 10月末に、技術革新に関するシンポジウムに参加するために上海に行ったが、泥棒はいなくなるし、交通違反はなくなるし、中国人が随分と行儀良くなったのに驚いてしまった。 すべては、中国全土に2億台は設置されているという監視カメラのおかげである。当局が、監視カメラを活用して人々の動きを監視しており、画像認識の技術も進んでいる。キャッシュレス決済をはじめ、スマホで多くのことが処理できる「最先端国家」が中国である。しかし、誰が、いつ、どこで、どういう買い物をしたかが、企業のみならず、政府にも完全に把握される監視社会となっている。 10月24日、ペンス副大統領はワシントン市内で講演し、香港の民主化デモを支持し、中国に人権を尊重するように促した。また、新疆ウイグル自治区でのイスラム教徒迫害を非難し、「中国はかつてない監視国家を形成している」と述べた。また、台湾の民主主義を高く評価し、中国による圧力行使を批判した。中国は、これに対して「内政干渉」だと反発している。 日本や欧米のような多元的民主主義社会から香港の情勢を見れば、ペンスのような批判が出てくるのは当然である。しかし、中国本土では、香港のようにデモをする自由はない。し続きをみる

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