ルノーとフィアット・クライスラーの経営統合をご破算にしたフロランジュ法

 フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は、5月27日にルノーに対して経営統合の提案をしたが、6月6日には、その提案を取り下げている。ルノーの筆頭株主のフランス政府の過剰な干渉に嫌気がさしたためである。フランスは、政府主導の「社会主義国」である。 労働組合も強い。マクロン大統領が経産大臣として仕えた社会党のオランド政権は、何よりも雇用の安定を優先させた。2012年にフランス北東部の町フロランジュで、アルセロール・ミタル鉄鋼会社が高炉の閉鎖し、大量の解雇者を出した。 そのようなことを繰り返さないために、2014年にオランド政権は「フロランジュ法」を制定した。その要点は、①工場などを閉鎖するときには、事前に売却先を探すことを義務づける、②株式を2年以上保有する株主に2倍の議決権をあたえる、の二点である。ただ、②については、株主の3分の2が反対すれば適用されないが、フランス政府が大株主の場合は、株式を買い増して、3分の2を阻止するようにすることが多い。 この続きをみる

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