問題山積の消費税増税対策

 100兆円を超える新年度予算が成立した。消費税増税が景気に悪影響を及ぼさないように、政府は様々政策を打ち出している。 その背景には、2014年4月に、税率を5%から8%に引き上げたときに消費を冷え込ませ、景気の悪化を招いた経験がある。しかし、今回の増税対策は、公平、中立、簡素という税制の基本三原則に適合していない。 消費税は逆累進性を持つが、たとえば富裕層は500万円の高級車を、貧困層は50万円の大衆車を購入する。税率10%ならば、前者は50万円、後者は5万円の消費税を支払う。つまり、金持ちは10倍の税金を支払うことになる。 食料品などについては、8%の軽減税率を適用するが、飲食料品は持ち帰れば8%、コンビニやスーパーのイートインや店先のベンチで飲食すると10%である。では、店先に駐めた車の中で食べるとどうなるのか。この基準が複雑すぎて、消費者も店も困ってしまう。「簡素」という原則からは遠くかけ離れている。 また、中小店舗でクレジットカードなどのキャッシュレス決裁をすると、ポイント還元するという。9ヶ月の時限措置だが、そこまで景気悪化を恐れ、なりふり構わない措置をとるのなら、そもそも税率アップをしなければよいのではないか。2%上げるのに5%も還元するというのでは、何のための増税か分からない。 中小小売店は現金取引が普通で、コストまでかけてキャッシュレス化を進めようという発想は無い。店のほうは、客にクレジットカードを使われると、続きをみる

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