感染症の危機管理:新型インフルエンザ対応の教訓(17)感染症よりも政治のほうが怖い

 2009年、厚労大臣の私は、新型インフルエンザとの戦いを進めていたが、政治の世界では、総選挙という戦になってしまった。何でこんな時期にと悔しかったが、政局だったので仕方がない。感染症よりも政治のほうが怖いのかもしれない。 2009年の夏、政局は緊迫し、遂に7月21日に衆議院が解散し、8月18日公示、8月30日投票の総選挙へと突入していった。 メディアが世論調査をし、選挙結果を予想したが、いずれの予想も、「自民大惨敗、民主大勝利、政権交代実現」であり、麻生内閣や自民党には重苦しい空気が漂っていた。 しかし、国民の生命を新型インフルエンザから守る戦いは続けなければならない。 7月22日時点で新型インフルエンザ患者は4433人となり、この日から「全数把握」をとりやめることにした。 また、感染症施行規則の一部を改正し、7月24日からは、新型インフルエンザ患者を診断した場合でも、集団的に発生したものでなければ、感染症法第12条に基づく医師の届出は不要とした。 これにより、簡易検査でインフルエンザ感染が確認されれば、原則としてPCR検査をせずに済ませることになったのである。 選挙戦も、マスクや消毒液を用意してのものとなり、選挙応援に出続きをみる

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