感染症の危機管理:新型インフルエンザ対応の教訓(6):ウイルスの毒性と日本初の感染者      

 2009年5月1日には、まだ全国の地方自治体との間でホットラインを開設していなかった。深夜なので、中田横浜市長とも連絡がとれない。この点は、初動体制構築上の問題点として反省すべきである。 この日の反省から、関西で新型インフルエンザ患者が出たときには、橋下徹大阪府知事や門川大作京都市長や矢田立郎神戸市長らと携帯電話で深夜でも相談した。この直接対話は効果を発揮し、国と地方の連携が上手くとれるようになった。 この5月1日の午前、官邸で新型インフルエンザ対策本部の第二回会合を開き、日本で感染者が出た場合には「行動計画」に基づいて対処することにしたが、私は、企業の業務縮小などについては、弾力的に運用する方針にした。 それは、ウイルスが弱毒性という見方が広まってきたからである。鳥インフルエンザのような強毒性を前提にした「行動計画」は、弱毒性の豚インフルエンザの場合は変更するか、運用を弾力化させるかしかない。実際に、後でこのことが大きな問題となっていく。 5月4日現在で、世界の新型インフルエンザの感染者1243人で、21ヵ国・地域に広がり、死者はメキシコで26人、アメリカで1人となった。この頃は、新型インフルエンザの上陸に備えて、日本国中が戦々恐々といった状態で、まさに臨戦態勢に入ったようであった。 まさに未知との遭遇で、だれも知らない見えな続きをみる

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