医師の長時間勤務:医者はまだ不足しているのではないか 

 政府は、6月18日、認知症対策の新大綱を閣議決定したが、高齢化社会においては、「2000万円」のみならず、十分な数の医師も必要である。 厚生労働省は、2月16日の有識者検討会で、医師の偏在を指摘し、47都道府県を①医師多数、②中程度、③少数に分類した。①は東京、京都、福岡、沖縄、岡山、大坂、石川、徳島、長崎、和歌山、鳥取、高知、佐賀、熊本、香川、滋賀、③は宮崎、山口、三重、群馬、岐阜、千葉、長野、静岡、山形、秋田、茨城、埼玉、福島、青森、新潟、岩手である。 このデータを見ると、医師偏在、つまり、医師が過剰な地域と不足な地域があり、その過不足を平(なら)せば問題は解決するという印象を持つ。しかし、医師の数は既に十分なのであろうか。 医師の長時間労働が大きな問題となっている。夜を徹して24時間勤務し、宿直明けにそのまま外来診療に当たる、つまり36時間連続して働くという過酷な現状を見ないまま、医師は充足しているとは言えないのではないか。 週に5日働き、休日にはゴルフを楽しむ開業医ばかりではないのである。 厚労省が「医師の偏在」と言うときに、「地域による偏在」と「診療科による偏在」の二つをあげるが、実は、「勤務形態による偏在」、つまり開業医か勤務医かで労働実態は大きく異なる。 2007年に私が厚労大臣になったとき、医師の数は十分だというのが政府の見解であった。私は、続きをみる

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