感染症の危機管理:新型インフルエンザ対応の教訓(11):厚生労働大臣に権限を集中する

 2009年の新型インフルエンザ発生のとき、霞ヶ関の縄張り争いが、迅速かつ効果的な対策を妨げた。 5月21日には、京都市で小学5年生の男児が新型インフルエンザに感染していることが判明した。門川大作京都市長とすぐに連絡をとりあったが、基本的には現地の最高責任者の判断に委ねることにした。 京都市長は、感染者情報などから、保育園の休園はしないという判断を下したが、細かく事情を説明してもらうと、そのような結論が最適だということが分かった。これは霞ヶ関から診ていたのでは絶対には分からないことであり、自治体の首長と直に対策を協議することの利点である。 各地で感染が拡大するに伴って、自治体のトップを地域の実情に合わせた対応をするようになっており、政府の行動計画も、ますます弾力的な運用を求められるようになってきた。そこで、5月22日に官邸で新型インフルエンザ対策本部の第4回会合を開き、新たな基本的対処方針を決めた。 その目標は、(1)国民生活や経済への影響を最小限に抑えつつ、感染拡大を防ぐ、(2)基礎疾患を持つ者を守るという2点である。 具体的な対応の変更については、各自治体で既に柔軟に行っているところであり、地域に任せるのは一番であるが、「それでは国や霞ヶ関官僚のプライドが許さない」と考え続きをみる

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