感染症の危機管理:新型インフルエンザ対応の教訓(1)備えあれば憂いなし

 2007年夏に私が大臣に就任してから、東南アジアを中心に鳥インフルエンザ(H5N1)の人への感染発症・死亡事例が相次いでおり、社会的関心も高まっていた。 そこで、まず、2007年10月26日に、新型インフルエンザ発生時に、必要に応じて内閣総理大臣を本部長とする対策本部を設置することを閣議決定した。11月16日には、霞ヶ関、千葉県、成田空港検疫所で総合訓練を行った。 2008年には、国際機関と連携し、また民間の専門家の協力を得て新型インフルエンザ対策を推進させるために、4月1日、健康局の結核感染課に「新型インフルエンザ対策推進室」を設置した。 強毒性の鳥インフルエンザ(H5N1)の脅威については、私が参議院政審会長の頃から、国立感染症研究所の岡田晴恵研究員に教示してもらっており、厚生労働大臣に就任したときに、この問題への対応も自分が取り組むべき課題だと考えていた。 因みに、岡田はこの問題について精力的に著書を出版しており、今回の新型肺炎発生に際しても、テレビの解説などでお茶の間でもお馴染みな研究者である。 4月15日には、私は、鳥インフルエンザワクチン(プレパンデミックワクチン)を医療関係者や検疫担当者など臨床研究として約6000人に接種し、安全性や有用性が確認されれば1000万人に事前接種する方針を固め、翌16日の専門家会議でもその方向で議論された。 この日は、インフルエンザ対策の現場を見るために新宿区戸山にある国立感染症研究所を視察した。ワクチンを研究するラボなどを見て続きをみる

『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』