議員向けのハラスメント防止研修の実施について

我孫子市選出・千葉県議会議員の水野ゆうきです。

本会議7日目。

朝、昼休憩、本会議後も打ち合わせ等が目白押しですが、昼休憩中にブログを更新。

 

昨日は私たち千葉県議会議員向けにハラスメント防止研修が実施されました。

講師はロア・ユナイテッド法律事務所の岩出誠弁護士で、超党派で54名の県議が受講しました。

 

 

議員によるハラスメントについては、我が会派で継続して取り上げている内容であり、職員へのハラスメントアンケートの実施を要望し、我が会派の要望を受け、千葉県では2年連続で職員にハラスメントアンケートを実施しています。

その結果、議員からハラスメントを受けたという回答がありました。

 

昨年度は約1万人に対し8割を超える職員が回答し、2割を超える職員が過去3年間職場においてパワハラ、セクハラ、マタハラ等のいずれかのハラスメントを感じたと回答しています。

 議員からも職員がハラスメントを受けていることが私の代表質問で明らかとなりました。

●議員からパワハラを受けたと回答した職員は11名

●議員からセクハラを受けたと回答した職員は5名

 

 

そして、私は本会議や常任委員会にて「議員が襟を正すべきと職員・議員のハラスメント研修の必要性を訴えてきました。

 

私は米国から帰国後、茨城県の学校、女子大である津田塾大学、民間企業を経て、現在は政治家として活動しているわけですが、民間や一般常識と比較し、あまりの政界のモラルの低さと非常識さに驚きを隠せませんでした

海外ではハラスメント事情は日本よりも厳格で、特に職務上の権力関係だけでなく、人種や性別、性的指向など多様な側面からのハラスメントに対する法的・社会的な対策が進んでおり、私自身が女子大出身のため、ハラスメントとは縁遠い生活を送ってきたので、衝撃的でした。

 

議員が職員に対して高圧的な態度や言葉を投げている場面も何度も見ましたし、女性議員・職員への明らかなハラスメントに愕然としました。

一方で、それを受け入れる女性が存在すること、議員に対して毅然とした態度をとることができない風潮がハラスメントを助長させるひとつの原因だとも思います。

 

議員同士、議員と職員の関係性という一般的な民間企業では上下関係が明確でない特殊な関係だからこそ、ハラスメント対策が実施されてこなかったのだろうと感じます。

今回のハラスメント研修ではハラスメントの定義と法的根拠、ハラスメントの具体例と裁判例などの結末について詳細な説明が岩出弁護士からありました。

 

職員と議員は直接的な雇用関係がなくても、社会的に議員が優越的な地位であり、職員へのハラスメントを行った場合、議員は民法上の不法行為や安全配慮義務違反の責任を問われ得ます

また、議員から議員に対するハラスメントについても民法上の不法行為責任が問われるのです。議員同士は対等ではあるものの、議長と議員、委員長と委員、期数、会派内の役職などで優劣が発生します。

広島県廿日市市議会では議長が議員に対して叱責したことが問題となり、第三者委員会が議長の言動が第三者委員会でパワハラ認定されたという事例や福岡県行橋市にて市長が特定の市議のことを非難したことが「議員の議会活動に対するパワハラ」と認定された事例等が今回の研修会で紹介されました。

 

政策と無関係な容姿・服装への言及、プライベートの詮索は重大な言動として問題視され、民法上でも責任が問われます。

また支援者や有権者が政治家に対して性的な要求、暴言、人格否定、議員活動の業務の妨害、ストーカー行為、SNSでの執拗な攻撃、選挙の敵側の妨害を行うこともカスハラとなります。このような内容については票ハラと問題になっており、主に女性政治家が対象になります(票を入れたからデートしてなど)。

 

また絶対にあってはならない利益誘導などで「票を集めたから、うちの会社に」などというような社会的相当性を逸脱した過度な要求も、もちろんハラスメントにも該当します。

ここまできますと大きな事件となりますが、何よりも大切なことは「ハラスメントをしない・させない・見逃さない」と強い心を持つことです。そして警察に介入してもらうことも大切だという話もありました。

 

私が一番気をつけていることは常にこの政界に違和感を持ち続けることと毅然とした態度をとることです。

そもそもハラスメント発言が横行している一部の懇親会や悪口ばかり言う政治家や職員とは距離を置くことを徹底するようにしています。

自分を守ることが大切なのです。

大体からして、一部の政治家や職員が人のことを呼び捨てにしているのも非常識以外のなにものでもありません。私も何度か呼び捨てにされたことがあり、あり得ないことなので大変驚きました。(いつも陰で呼び捨てにして悪口言っているんだろうな〜と容易に想像がつきます笑。)

 

政界は高い倫理観が求められているにもかかわらず、モラルの面については、急速に進む時代から取り残され、ガラパゴス現象が顕著な業界です。

ハラスメントを許容をしたら被害者の心理的安全性を奪い、組織全体の生産性・士気の低下、コミュニケーション不全に陥り、組織のモラル低下という悪循環を引き起こします。

 

人というのは加害側は気づかないのかもしれません。

そして、社会的地位が高いとされる政治家に対して周囲も注意できず、むしろ断ったら仕返しされるというような風潮を変えていかなくてはなりません。

そのためにも政治家が問題意識を持つことの大切さをあらゆる場面で訴えているわけですが、この動きは全国の自治体で広がっています。

 

令和7年10月6日時点で首長等や議員のハラスメント防止等に関する特化条例を制定している自治体は134団体の142条例で確認できます。

都道府県では直近で福岡県が条例を制定しました。

 

特に政治の分野では様々なハラスメントの実態や報道を背景に社会的にハラスメント防止の要請が高まっています。刑事上、民事上の責任を問われる場合もあります。

 

我が会派は期数や年齢で優劣もつけず、必ずみんなで協議するということを徹底しており、政党に所属している議員もおらず、選挙も自分の政策で戦う政局とは遠い存在であるため、他の政治家と比較すれば実体験は少ないとは思いますが、理不尽なハラスメントについては毅然とし、何かあればみんなで協力し合いながら、風通しの良い環境構築に努めていきたいと思います。