こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
4連休中も「陽性者」の増加が止まらないことで、また「PCR検査の数が足りないから、日本は対策に失敗している」「今すぐ検査数をニューヨークのように増やすべき!」という論調が加熱しているように見えます。
【モーニングショー】PCR検査拡大阻止の理由は、「人権問題になるから」は大間違い!!
https://www.gohongi-clinic.com/k_blog/6472/死者数から見ても完全に対策に失敗したニューヨークを見習う理由は特にないと思いますし、同様に検査数を増加させたカリフォルニア州等では感染拡大が止まっていないことから、PCR検査数増=感染抑制成功という根拠は脆弱です。
また上記の記事でも繰り返し指摘されているように、PCR検査では偽陽性・偽陰性という問題が避けられない以上、検査を無尽蔵に拡大していけば問題解決するかのような主張は誤りである可能性が高いと思います。
少なくとも医療・介護や人と接するエッセンシャルワーカーの方々が十分な検査を受けられる20〜30万件/日の検査体制の確立を急ぐべしというのが現時点での考えだが、引き続き、専門家の知見を学ばせていただきながら「感染拡大防止」と「経済の再生」の両立を図る最適解を探っていきたい。
— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) July 25, 2020
一方で、現実にはPCR検査による「陰性証明(にはならないのだが)」が国際的にも一定程度求められる風潮になりつつあり、PCR検査での判断が容易になれば少なくとも心理的には「経済・社会活動がしやすくなる」面はあるのだと思います。
そこでボトルネックになるのが、「指定感染症」の分類です。
(厚労省HP資料より)先日の記事でも取り上げたように、新型コロナウイルスは2類感染症に指定されていることから、原則入院・専門病院での対応などが義務付けられます。
参考過去記事:
法改正で封じ込めるのか、(2類)指定感染症から外すのか。政治の優柔不断と先送りはいつまで続く
https://otokitashun.com/blog/daily/23942/国民民主党・玉木代表が示唆するように、PCR検査を10倍くらいにしてどんどん陽性者を判定していくとなれば、その陽性者はどこで対応するの?という問題が避けて通れないことになります。
軽症者用のホテルとて充分とは言えず、ただでさえ逼迫が危惧されている医療資源が消費されてしまうことが、医療関係者がむやみな検査拡大に慎重である大きな理由の一つです。
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ではどうするか。論理的な帰結としては、やはり「指定感染症(2類)から外す」ことに行き着くのではないかと思います。
新型コロナを、原則入院隔離などが規定されている2類からインフルエンザと同じ5類にすれば、医療機関の対応は劇的に変わります。
陽性が判明したら、自宅待機をお願いすれば良い。陽性者は、医療機関から診断書をもらって職場や学校に提出して休む。インフルエンザとまさに同じ対応で、経済活動や教育現場を動かしていくことができます。
しかしこの指定感染症の扱いについては、政府与党内でも専門家会議の分科会でもほとんど議論された形跡がありません(直近の議事録でも言及は見当たらず)。
もちろん指定感染症(2類)から外すことで、重症化への対応が遅れる可能性が出るなどデメリットも存在します。しかし、脳症などに重篤化するインフルエンザや、子供から高齢者に感染する肺炎球菌も感染症指定は2類ではなく5類となっています。
最後は政策判断・政治の意思決定の問題です。
これだけ国民が「コロナ恐怖」に襲われている現状では困難だとしても、政府が行うべきはGoToのような小手先の経済対策ではなく、指定感染症の問題を解決して抜本的に社会活動再開への素地を作ることではないでしょうか。
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ただ以前のブログ記事でも言及したように、逆に命令と補償をセットにした法改正を行い、もう一度ウイルスを「封じ込める」という政策オプションも存在します。
どちらを選ぶかは政治判断ですが、いずれにしても現状は問題を先送りして手をこまねいているに過ぎません。
見かけの陽性者数の増加で多くの人に同様が広がる中、政治が毅然とした決断を行い、どちらの道に進むのかを示すことが求められています。
私個人は前者(指定感染症を外すこと)を早急に検討すべきだと考えますが、引き続き党内議論も重ね、政府与党に適時適切に提言をして参ります。
それでは、また明日。