米大統領さえも…?政治家は「支持勢力の意向」を無視できないという真実の中で

こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

ちょうど本日、旧知の仲である渡瀬裕哉さんの米大統領選に関する最新著作を読んでいたら、いつの間にか菅総理と会談していてびっくりしました。

2020年大統領選挙後の世界と日本 ”トランプorバイデン”アメリカの選択

渡瀬さんといえば、ほとんどの有識者が2016年大統領選でヒラリー勝利を予測する中、的確にトランプ当選を予言して的中。

大統領選後もトランプ陣営の戦略・政策を高精度で分析し、いまやすっかり米国政治研究家といった趣すらあります。もともと何をされていた人でしたっけ…?(笑)

なぜ渡瀬さんの予測は外れないのか。著作の冒頭で渡瀬さんは

「およそ政治家は誰であれ、その政治家を支える『支持勢力の意向』を無視できない」

という民主主義の宿痾とも言える確信にふれ、丁寧に支持者や支持勢力を分析してきた実績を語り、本書の中でも多くのページがそこ(トランプ・バイデン両陣営の支持勢力分析)に割かれています。

大統領という世界最高の権力者といえど4年に1度「選挙」という民意の審判を受ける以上、支持勢力の意向は何よりも重要であり、政策実現には何らかの「ウラ(意図)」がある

特定の企業団体、労働組合、宗教団体…その主張やニーズを丁寧に読み取っていけば、一つ一つの戦略・政策には選挙を見据えた理由が必ず見いだせるというわけですね。

さて、日本で「第三極」と言われてきた我々のような政治家・政党は、こうした「特定の利権団体・圧力団体からの応援を受けない」ことを信条として活動しています。

ただそんな我々も誤解を恐れずに言えば、

「およそ政治家は誰であれ、その政治家を支える『支持勢力の意向』を無視できない」

という法則から逃れることは、おそらくできていません。

なぜならば我々も「無党派・無所属・浮動票」という属性を持つ人々の意向を、意識的であれ無意識的であれ気にして行動しているからです。

「しがらみがない」

ことを強みとしているからこそ、仮に特定の利権組織に利するように見える政策を実行すれば、途端に期待をしていた支持層は離れていく。だから、その期待を裏切るようなことはできない。

こうした思考回路・行動パターンは、おそらく専門家から見れば「そういう支持勢力の意向」として的確に分析・カテゴライズされていくことでしょう。

とはいえ私は、その自分たちの立ち位置・行動は決して間違っていないと考えています。

1989年時点では日本人(有権者・成人)が何らかの団体(町内会や労働組合・婦人会など)に加入している団体加入率は約83%近くありましたが、2018年の最新の調査によると約56%まで低下しています。
(倉持麟太郎氏「リベラルの敵はリベラル」P218データより)

つまり、「どの利益団体にも所属していない個人」がほぼ半数いる時代に突入しているわけで、いままでのように「各種団体の意見・利益を集約し、政治家が団体向けに再配分を行う」ことで成立してきた昭和型の政治が限界を迎えつつあることは明らかです。

「所属団体がない個人」
「支持する政党がないという勢力」

の「支持」どのように獲得し、利益を適切に分配していくか。

アメリカも日本も、いろいろな意味で岐路に立たされているなと感じた週末でありました。

米大統領選はトランプ大統領に厳しい情勢のようですが、ぜひ紹介した著作などをご一読いただき、日本政治の未来とともに考えるきっかけにしていただければ幸いです。

それでは、また明日。

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