こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
本日は委員会にて外部から専門家・有識者に来ていただいて質疑を行う「参考人質疑」だったのですが、複数の先生から
「オンラインかと思ったら直接きてくれと言われて驚いた。最近は大学の授業等もすべてオンラインなので、久しぶりに外に出た」
と指摘をされてしまいました…これが世間と国会とのギャップですよね。。
三度の緊急事態宣言が取り沙汰される中、学生や飲食店を始めとする多くの皆さまに我慢をお願いしながら、国会だけ何も変わらないというのは大問題です。
我々も先日の党大会は始めて「ウェブ投票システム」を使って重要事項の議決を行いました。記名投票であれば、こういう仕組みでまったく問題ないはずです。
国会審議・採決のオンライン化についても、引き続き問題提起を国会内で続けてまいります。
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さて、本日は財政制度等審議会で財務省から「雇用調整助成金の特例見直し」が提言されたようです。
雇用調整助成金 コロナ影響企業への特例措置解消を提言 財務省
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210415/k10012977491000.html>財務省は新型コロナウイルスの影響で経営が悪化した企業への「雇用調整助成金」について、新しい産業に人材が移動するのを妨げているとして支給額の上限を引き上げている特例措置を早期に解消すべきだと提言しました。(中略)
(上記NHKニュースより抜粋、強調筆者)
>これについて、財務省は新しい産業に人材が移動するのを妨げているとして雇用情勢が大きく悪化しないかぎり特例措置を早期に解消して職業訓練の拡充など離職者の支援に力を入れるべきだと提言しました。ギョッとされる方もいらっしゃるかもしれませんが、これは政策の方向性としては正しいものだと思います。
本件は、先の予算委員会でも取り上げて厚労大臣から前向きな答弁をもらっていました。
新型コロナウイルスで我が国の経済・雇用環境は大きなダメージを負いましたが、そこで機能したセーフティネットの一つが雇用調整助成金です。
誤解を招かないように申し上げますと、緊急時にこの雇用調整助成金を拡充し続けてきたことは正しかったと思います。
しかしながら、雇用調整助成金のデメリットとして、本来であれば発生するはずだった労働移動・業態転換が起こらず、労働市場を歪めて生産性が低下する点が指摘されています。
また、長期に渡るほど、休業者と失業者の間の不公平感が拡大することも問題です。
あくまで雇用調整助成金などの特例措置は短期的な止血措置である一方、コロナ禍が始まって一年以上。薬も飲みすぎれば毒になるように、雇用調整助成金による対応には限界がきています。
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これは我が国の構造的な問題とも直結しています。
過日に日本労働組合総連合会の方々と意見交換をした際、
「日本は一度労働環境に『切れ目』ができてしまうと、またつなぐのが難しい。だからつなぎ続けることが重要なんだ」
と強調されていました。これは現状認識では正しいと思います。
正しいと思いますが、時代にあった適切な状態かと言われれば、残念ながらそうではありません。
正社員による終身雇用という商慣習がまだまだ根強い日本ですが、「一度レールから外れたらなかなか戻れないのでつなぎっぱなしにしよう」ではなく、途切れてもすぐに、別のスキルを身につけて戻れる労働環境こそが、ニーズが多様化した現代社会においてあるべき姿です。
であれば、これ以上拡充すべきは雇用調整助成金ではなく、労働政策で言えば、失業給付と求職者支援制度です。
今後はとにかく失業させない・つなぎ続けるという硬直化した現在の労働政策から、失業時にしっかりと支える・途切れても戻れるという考え方にシフトするべきと言えるでしょう。
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が、しかし。
これ、財務省・財政制度等審議会の側が言うのって、反発を招くだけだと思うのですよ。
「色々と言ったところで、結局は財政支出を絞りたいだけでしょう?」
って思われるに決まっているじゃないですか。コロナが完全収束した後ならまだしも、三度目の緊急事態宣言が出ようかというこのタイミングです。
現状はまだまだ、財政支出については惜しみなく行うタームです。しかし純粋に労働・経済政策の観点から、長期化する雇用調整助成金の特例は望ましくない。
これは財務省ではないサイドからしっかりと提言していくべきであり、この局面では財務省は表に出ない方が絶対に良いと思います。
こうした観点も含めて、引き続き私も国会質疑などで(財政出動問題も含めて)強く提言を続けていきます。
それでは、また明日。