こんばんは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
本日、都庁記者クラブにて都議選公約&三次公認の発表を行いました。
今日はその中の目玉公約「東京版レスキュープラン」について取り上げたいと思います。
名称の「レスキュープラン」ですが、これはバイデン大統領が200兆円規模で打ち出している「アメリカン・レスキュープラン」を
パクったオマージュしたものです。いくら東京都でも200兆円というわけにはまいりませんので、後述する現実的な財源論なども踏まえ、2兆円規模で財政出動する経済対策となっています。
まずは東京版の持続化給付金、家賃支援給付金。これは以前に政府がやったものなので、イメージがつきやすいと思います。
度重なる緊急事態宣言とその延長にもかかわらず、政府も東京都もまったく十分な補償をしていません。特に東京都は、協力金の支給も相変わらず滞ったままです。
そこで、以前に国が用いたものとできる限り類似のスキームを使い、迅速に対象事業者へ給付金・家賃支援金を届けます。
予算規模は国で行われた実績から、それぞれ1.2兆円、1,200億円程度と試算しました。
続いてキャッシュレスポイント還元事業。
減税も考えましたが、都民税減税は心理的にもインパクトが小さく、こちらのほうが景気回復の即効性が高いと判断しました。
PayPay100億円還元キャンペーンのスキームで、どんどんお金を使ってもらい経済を回復させる。名古屋市長選公約に掲げられていた、還元率30%のスキームを参考にしています(一人あたりの上限については要検討)。
そして10万円の児童手当・授業料補助。
今回のコロナで大きなダメージを受けているのが、子どもたちと子育て世代です。学校や保育園などの活動を制限され、また所得が減少している保護者も少なくありません。
そこで、15歳までの児童には一律10万円を支給。高校生・大学生に対しては10万円分を「教育バウチャー」で支給して授業料補助を行う制度設計としています。
さらに区市町村がフリーハンドで使える交付金。高齢者の方への支援などは、現場をよく知る基礎自治体にこの交付金を活用してきめ細かく行ってもらうことをイメージしています。
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合計2.2兆円の支出ですが、財源はどうするのか?つい先日も、都の財政調整基金が底をついたとニュースになったばかりです。
しかし、それでも東京都にはまだ余力がある。ここから独自に財政出動ができる唯一無二の自治体であると言って良いと思います。
まず財政調整基金以外にも基金が5,500億円程度あります。条例改正が必要になるものの、これを取り崩すことはまず可能です。
そして公営企業会計からの借り入れ。水道事業を筆頭に、都の公営企業が持つ流動資産は圧倒的です。中央卸売市場会計は将来的に必要な財源ですが、もちろん返却が前提。
これに加えて、都債の発行。
都債の発行余力というのは実はなかなか難しくて、総務省も都庁も聞いてすぐ答えられる数字を持っているわけではないのですが…
「公債費負担比率」と「財政健全化判断比率」という2つのデータから推計し、中間値の1.2兆円程度までは発行可能と試算しました。
都債発行の財源はどう新規事業に充てていくかという点で技術的な課題は残るものの、現状の東京都・都庁の体力で2兆円規模の財政出動は十分に可能であると考えられます。
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最後に、財政出動後はどうするか。
財政にフリーランチ(タダ乗り)はありませんし、国と違って東京都には貨幣発行権もありません。
ただ基金を取り崩し、債権を発行して乗り切るだけでは、将来世代にツケを先送りする可能性があります。
コロナ危機を乗り越えた後は、敢然と行政改革に着手。
地下鉄の一元化に見通しを早期につけた後、東京メトロ株は売却。都営住宅や水道事業の一部など、民営化ができる事業も沢山あります。
究極的には、現在都庁の第二庁舎に入っている政策事業はほとんどが移譲・民営化が可能であり、第二庁舎ごと売却することも視野に入ります。
ただ誤解をしていただきたくないのは、これは財源をひねり出すために無理やりやるということではありません。
東京都が本来であればとっくにやるべきはずだったけど、潤沢な財源に甘んじて先送りにしてきた改革を、このコロナ禍を奇貨として取り組むというだけです。
溜まりに溜まった東京都の試算は、合計28兆円にものぼります。もちろんすべてが売却可能なものではありませんが、都が持つ必要のないものまで抱え込むことは逆に非効率です。
よってこれは「緊縮」などとは無縁の前向きな改革であり、都の生産性・成長力をさらに高めるための成長戦略であると断言できます。
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残念ながらコロナ禍において、政府も小池知事も極めて不十分な財政出動・経済対策で、都民は大きなダメージを被りました。
これを取り戻すための「レスキュープラン」を我々は対案として提示し、都議会議員選挙に臨みたいと思います。
他にも「多様性(同性パートナーシップ制度導入)」や「表現の自由(不健全図書指定制度の見直し)」など、新たな政策もチューンナップされた「東京維新八策」。
耳目を集めるオリパラばかりに囚われず、その後の4年間を見据えた政策議論を深めてまいります。
それでは、また明日。