築地を巡る5千6百億円補正予算に反対

深夜に及んだ本会議初日、はぐらかしと言葉遊びが飛び交った3月4日(月)の小池百合子知事との一問一答経済港湾委員会。都議会が、またしても注目されている本日、第97号議案「平成30年度東京都中央卸売市場会計補正予算(第1号)」の中途議決が行われ、上田令子は、反対致しました。

【政局に翻弄され続けた市場移転】
本案は、中央卸売市場閉鎖後の築地市場跡地を中央卸売市場会計から一般会計に有償所管替えする経費の計上などを行うもので、築地跡地を市場会計から一般会計が約5600億円で買い取るとしています。これにより、同跡地は市場以外の使用が可能になり、売却処分も可能になります。
築地市場をめぐっては、食料の安定供給と都民の食の安心・安全のため、その老朽化に対応し、近代化を図っていく必要性から、美濃部都政以来、半世紀にわたり、移転と再整備の議論が繰り返されてきました。
石原都政下の2004年に事業者参加のもと、「豊洲新市場基本計画」が策定され、豊洲への移転方針が確定しましたが、その後、ベンゼンなどの有害物質が国の環境基準を大きく上回って土壌汚染が明らかになり、巨額な都費を投じて対策を施しました。

2009年の都議選で、当時の民主党が第一党となると、都議会に「東京都中央卸売市場築地市場の移転・再整備に関する特別委員会」が設置されましたが、約2年間の調査でも目に見える成果が得られず、結果的に都議会多数派も都の移転方針を追認することになり、既定路線として移転が進められてきました。

【課題は置き去り、新たな知事選・都議選の争点に】
私は、2013年の初当選以来、現在まで、公営企業会計決算審査などにおいて、このような政局に振り回されてきた仲卸などの事業者の経営の健全化・安定化と新規事業者の参入の開放を訴えて、時代のニーズに合わせた公設市場のあり方を提言して参りました。(以下過去blogご参照)

豊洲新市場商業施設事業者撤退…だから言わんこっちゃない!2015年5月6日
やっぱり廃業…仲卸業者豊洲新市場移転断念。2015年7月24日
豊洲新市場に欠かせぬものは「市場原理」2016年8月26日

このような経過から、これまでの、採算度外視、将来的に市場が本当に必要なのかを差し置いた市場問題に疑義を唱えていたことから、この課題解決の実現を願い、先の知事選では、「東京大改革」を高らかに掲げた小池百合子氏を都議として最初に支援するに至りました。
 先の知事選では、国政野党の立場をとる民進党、日本共産党、社会民主党、生活の党と山本太郎となかまたち、新社会党、緑の党グリーンズジャパン、東京・生活者ネットワーク推薦の候補が上述のような経過から支援政党・都議に配慮、忖度したのか、築地市場の視察を避ける一方、それを見た小池氏は築地市場を視察し、知事選のみならず都政上の争点に誘導しました。
 小池知事就任後、「いったん立ち止まる」として市場移転を延期し、地下空間の存在が明らかになりました。都議会では、「豊洲市場移転問題特別委員会」と「豊洲市場移転問題に関する調査特別委員会」(百条委員会)が設置されましたが、両委員会は、準備不足は否めず、都議選前の政治的パフォーマンスの場と化し、証人喚問による関係者の糾弾・告発が中心となり、時間切れで見るべき成果を都民に示すことはできませんでした。
 このような状況の中、都民ファーストの会を立ち上げた小池知事は、都議選告示わずか3日前に「築地は守る。豊洲は活かす。」、「築地は、食のテーマパークにする」、「市場業者が戻れるお手伝いをする」と明確に述べた基本方針を突如として明らかにしました。私も都民ファーストの会の都議団の一員でしたが、「ワンボイス」のもと、知事の発表が行われ、私が積み上げられてきた公設市場のあり方についての知見は、都議選前の政局パフォーマンスを前に一顧だにされませんでした。

【“ワンボイス”で迷走しつづける「東京大改革」】
 今回の有償所管替えの提案は、「東京大改革」の変質がいよいよ露呈、顕在化したものと考えます。小池知事が都民に約束した、これらの基本方針を放棄するばかりか、目先の政局を意識した表層的な言葉による「ワンボイス」の取り繕いを繰り返すもので、厳しく指弾されなければいけません。さらに、「ワンボイス」であるはすが、知事自らの議会での説明の機会を忌避し、なるべく質疑時間を短縮しようとする対応をした都民ファーストの会と公明党の知事与党の姿勢も、二元代表制のもとで都議会の職責を放棄するもので、到底、許されるものではありません。
よって、事業者はもとより都民の利益にもならないものであり、警鐘を鳴らすうえでも、反対をせざるを得ないと判断いたしました。
 また、この補正により、市場会計には約5600億円もの都民の血税が投入されるもので、この使途も厳しく関していかなければなりません。そのためには、予算・決算で厳しく質していくことが肝要です。しかしながら、一人会派となったお姐には、出席できないという信じがたい「ふるい議会」、それが東京都議会だったのです!

【史上初!予算特別委員会へ「委員外議員発言」の申出書を提出!】
 都議会は都民に選ばれた都議であるにもかかわらず、その発足以来、一人会派議員が予算・決算委に臨めない悪しき「慣習」が長年続いています。江戸川区議会でもかつて、一人会派を一切出席させない運用を続けておりました。「区民に選ばれた区議が議会の真骨頂、予算・決算委に任期中一度も出られないのはおかしい!」区議初当選2007年以来、強い働きかけを超えた死闘(笑)ともいえるお姐を予算・決算委員会に出そう!キャンペーンを区民とともに繰り広げ、一度は議会改革検討小委員会に拒否されるも、「委員外議員の発言」を申出て、認めさせ前例を作りました。ただし与えられた時間は一日たったの3分!江戸川区議会史上有名な上田令子3分間劇場はここから誕生したのであります。改選を経て、江戸川区議会では、現在は全員が任期中必ず、予算・決算委員会に出席できるよう改善されています。

そこで!!

まずは、都議会においても、今ある権能を活用すべく、委員会へ所属してない議員も発言できる「委員外議員発言」申出書を本日開催された予算特別委員会理事会に都議会史上初提出を致しました!

が、
残念ながら拒否をされました。

拒否の判断を下した予算特別委員会理事会メンバーは以下の通りです。
委員長 石川良一(都)
副委員長 上野和彦(公)
伊藤ゆう(都)
三宅正彦(自)
理事 内山真吾(都)
秋田一郎(自)
白石たみお(共)
村松一希(都)
橘正剛(公)
木村基成(都)
*******

【お姐総括!】
給料ドロボーは役所にも議会にもいらないっ!!


政局に翻弄されて、そもそもの「公営市場」の存在意義、必要性にも立ち返らず5600億円(これまでかかった経費、土壌汚染対策経費586億円、移転費用、延期費用…合算したら目の回る金額になります)。良かれと思ってやる、行政施策の失策や停滞による損失は、すべて都民の税金であがなわれます。ここに歯止めをかけていくのがチェック機関でもある議会なはず。
キャンペーン
▲江戸川区議会を動かした一人議会改革キャンペーン

議員なのに、予算・決算に関われないとは、まさに給料ドロボー。江戸川区議会も3年かかりましたので、あきらめず今後も都民に実態を知らしめ、発言権を求めて行く所存です。

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