守れ。葛西臨海水族園【第5章】小池知事驚愕発言「結婚式場」に?!

お姐発「守れ。葛西臨海水族園」アクションが功を奏して、地元江戸川区、都庁関係者、建築家業界はもとより、全国的に「え?壊すの?ありえない…」という大きな反響が広がってきております。12月23日に、異例の記者席、傍聴席も満席の中第4回葛西臨海水族園事業計画検討会が開催されました。なんと、副座長はじめ5人もの委員が欠席。欠席される委員の中には、既存施設(谷口吉生氏設計葛西臨海水族園本館のこと)のことを度外視して話を進めることを指摘し、文化的価値を再評価すべきだという文書を提出された方もいましたが、都庁官僚の口車にのった決断をすることへの良心の呵責か、闘う勇気から逃亡されたのでしょうか? 

案の定、これまでいくら既存施設の長寿命化をうったえても無視され、反映されず煮え湯を飲まされ続けてきた複数の委員から

「本館から水族園機能を奪うべきではない」

「本館をどうするか除外しての計画はおかしい」

「あらためて、既存施設をどうするか検討項目にいれて議論すべきだ」

等の意見が出て、それに難癖つけて、役所の味方をする委員もおり(←この人環境デザインの教授らしいけれど
ホントに建築を愛してるの?!)、検討会は大紛糾。

とにもかくにも、これまでのように委員の意見を無視することなく、今後事業計画案を作成するときは必ず、全ての委員の確認をとってからコトを進めること。

既存施設について、改めて検討項目に加えて新たな議論を重ねていくこと。

を双方確認して終わったのであります。

都庁官僚の目論見としては、シャンシャン総会ならぬ、アリバイ委員会で、うるさい委員の話を聞くのもシカトして、資料を作るのもこれで最後…あ・と・は・壊すだけ…とシメシメと役人も、そのボスである小池知事も思っていたことでしょう。

しかし、大相撲宜しく千秋楽になって、良識とノブレスオブリージュのアクションが大金星となって東京都にとって想定外の事態となったのであります。

【大手メディアがこぞってとりあげる】
お姐も何度か傍聴に行った葛西臨海水族園にかかる検討会は、それまでは閑散とした中で行われていました。
しかし今回は、まるであの豊洲の100条委員会並みの熱気に包まれ、これはただでは終わらない何かが始まる予感を感じたのです。
そう、猪瀬元知事、舛添元知事らが、ちょっとしたアクシデントから、あれよあれよとに事件になり失墜していったような。
国政政党の野望に“希望”を託した小池知事の希望の党が、たった一言の「排除」発言で失墜したような…。

あの時の予感?予兆?
言葉にできない肌感覚が重なったのです。

この手の一見地味な、しかもある意味、江戸川区葛西というローカルなテーマの行政委員会を、業界新聞は取り上げることはあったとしても、なかなか耳目を集めることもなかったのに、なんと天下の?!NHK夕方ニュース番組報道となったのです。

都立葛西臨海水族園の建て替えで議論 保存を求める声も NHK
「東京工業大学の安田幸一教授は「既存の施設を利用して長寿命化していこうという声が多い中、新しい施設に移ったあと、既存の施設の活用法を考えるという意見に終始しているのは問題だ」と話していました。」

葛西臨海水族園 取り壊しに反対意見 FNN
「23日の検討会では、建物の取り壊しに反対する意見などが出された」

葛西臨海水族園の新しい姿の概要示される 朝日
「委員の一部からは世界的建築家が設計した現施設の保存活用を求める声が上がっている。」


【委員の発言を無視して事業計画を強行発表】
こうした報道がなされている中、昨日突如としてお姐のところに、東京都建設局公園緑地部再生計画担当課長から、事業計画案が完成したのでプレス発表をすると連絡が来たのです!
そこでお姐は、

「既存施設の取り扱いについて、全く触れられておらず、新規施設ありきの事業計画案になっており驚愕いたしました。
本館施設を利用しないという前提は確定していなかったはずで、到底納得できる内容ではありません。
事前に委員の全ての先生にお見せしたのでしょうか?
中身を必ず確認させて欲しいという意見があり、座長もそうされると答えてました。
少なくとも委員の先生方のご意見を聞いてから進めて下さい。」
とプレス発表をやめるよう強く要請したのです。

しかしながら、都庁官僚暴走列車は進むよどこまでも。
座長に一任したから公表して良いのだという担当課長の弁明ですが、お姐は委員会を傍聴してるわけで、委員は座長に一任してないことを目の前で確認してるんです。
各委員へ報告書案を提示して、さらにその意見を反映することを約束していたはずなのです。
その後調べたところ、委員に素案の中身が提示されたのは、一昨日の午後であったことが判明。訂正を促すいとまも与えないファクトをつかみました。

つまり、委員からの意見を反映する前にまとめられた報告書案であることに間違いないということです。
こんな乱暴なやり方で作った素案、それをもとにパブリックコメントを募集することは、国際都市東京において、ありえない暴挙なのです。

【挙句の果ては知事の「結婚式場」発言!】
23日(月)に検討会→25日(水)に委員へ事業案を送信→特に意見を反映することなく→26日(木)午前お姐に連絡→お姐がプレスは待てと要請→ガン無視して同日午後3時発表

というもう、民主主義も自由もヘッタクレもない、ファシズム体制の中、さあ今日はなんの日?!

知事定例記者会見の日!!

を迎えたのでした。
本日は、知事鳴り物入『「未来の東京」戦略ビジョン』を小鼻を膨らませて発表していたわけですが、事前にお姐はツイッターでその実態をつぶやいておりました。

「お姐独自調査の結果判明したコスト
策定費6千6百万円 コンサル料740万円 
税金を使った、事実上の「小池百合子都知事選」公約のベースとなりますまいか。要注目!」

巨額の税金使って選挙活動ともとられかねない「長期計画」をドヤ顔で説明されておいででしたが、記者質問となりますとサっと顔色が変わる場面がありました。

そう、「葛西臨海水族園本館の去就」につき尋ねられた時です。

日経新聞記者「昨日葛西臨海水族園の移設計画案というのが公表されパブリックコメント募集とやむたが、今、建築家の谷口吉生氏の設計したガラスドームについて建築的文化的価値があるということで、「保存、利活用したらどうか」という声が有識者や建築関係からあがっている。昨日発表された都の計画では既存施設から水族園機能を移設後施設の状態等を調査の上、その在り方を検討すると表現されているが、知事の保存、利活用などのお考えをうかがいたい」

小池知事「開園から30年が経っており施設が老朽化したり、バリアフリー化が必要だということで更新に向けた検討を行っている。外部の有識者の議論を踏まえて(お姐注:前述のとおり、踏まえてない、無視)素案を公表させていただいてパブコメ開始した。都民の皆様の声をお寄せ下さい…(以降官僚準備の書面棒読み。以下省略)」

さんざん、検討会で建設局が説明してきたことをなぞり終えたあと、ホっとしたのか、とんでもない発言が飛び出したのです。
(なんだか、排除発言の時の似てますね)

小池知事「ガラスのドームですね…。

あれなかなか素敵でぇ、私、あそこで結婚式とかね、ユニークべニューで使ったらいいんじゃないかな?

はぁ??
結婚式場ぉ~!
お姐は持ってたマグカップ落としそうになりました。

約25年前の都知事選で、「ワンフロア丸々知事室になっているのは贅沢で広すぎ」と、批判していた青島幸男氏は「知事室をどうしますか?」と聞かれて、「結婚式場にでもしますかねぇ」と思い付きのように無責任に答えたということを、都政関係者は思い出して同じようにお茶こぼしたのではなかったでしょうか?

葛西臨海水族園本館は、水族館として設計され、水族館として生き続けるからこそ「ユニーク」なのではないでしょうか?

水族館機能を奪い、がらんどうにして、「素敵でぇ」という素人の思い付きで、パーティスペースのような安易な利用施設にしていいのか?

いいわけはない!!

ガウディのサグラダファミリアを、
「デザインが素敵でぇ、冠婚葬祭式場にしたらいいんじゃないかな?」

なんて、バルセロナ市長は言うのでしょうか?
谷口吉生氏は空と海と水が一体化する「水族園」を創ったのです。

残骸にしてオシャレな式場にするなんて、都民ならず、人類と文化と文明に対する冒涜に他なりません。

価値もわからない者が、もちつけないものを持つとこういうことになります。

能力のない者、ノブレスオブリージュのない者、エスタブリッシュメントの矜持がない者をトップにするとこんな残酷な破壊行為を、全く痛みを感じないばかりか、意味も理解せずできてしまうのです。

日本の文化を滅ぼしかけた廃仏毀釈運動

言わずと知れる、パリまで焦土と化そうとした、ナチスドイツによるホロコースト

バーミヤンの世界遺産の仏教遺跡群の旧タリバン政権による大仏立像破壊

松坂牛の頂きものの価値がわからず、みじん切りにして野菜炒めしちゃうバカ嫁状態…(お姐か?!)

【心の琴線に触れる“みんなのご近所水族館”】
知事に今日質問をされたのは日経新聞の記者でした。
そして今回の報道で奇遇にも一番心に残った記事も日経新聞でした。

日本経済新聞 の名物コラム「春秋」

「幼い娘を連れていった思い出の場所だ。改修して使い続けられないものか。」

「「人生100年をうたう時代に30歳で命を絶つの?」と建築史家の松隈洋さん。たとえ人間でなくとも壮年期の建物の「訃報」は悲しい。」

記者の本音が吐露されており、今回の「葛西臨海水族園取り壊し暴挙」が何なのか実によくしるされていました。

東京都よはかる水族館には、家族や恋人と訪ねた万人の共通のかけがえのない思い出があるから、国立競技場解体よりも更に痛みを感じるのではないでしょうか。


【お姐総括!】
華やかなことや目立つことだけは大好き小池知事。
その日は超多忙であったにも関わらずスケジュールをムリクリ調整しイソイソとホテルオークラ完成式典に出席したといいます。
プレステージ_ロビー2
▲父の意匠を引き継いだ谷口吉生氏設計ホテルオークラ東京ロビー。もちろんここでの結婚式はお姐は大歓迎です!

オークラ旗艦ホテルで式典 本館建て替え 12日開業 産経新聞

皮肉なことに、この記事の写真左から二人目にオークラロビーと葛西臨海水族園設計者の谷口吉生氏が小池知事とともにいます。

ノブレスオブリージュとエスタブリッシュメントの矜持をもつ“巨匠”と表裏の顔が違う小池百合子という“Politician”を象徴するワンショットですね。

「建物は、ある意味で、人と同じです。この世に生まれてきた以上、日々、寿命に向けて老化していきます。高齢者を大切にしない社会は成熟した社会とは言えません。ある程度の御世話は必要なのです。人としての発想が貧困な人達の考えることに文化度の低さを感じます。寂しい限り!」

知己のある建築家の言葉をシェアして、今回は熱くたぎらず、無法者の暴挙に痛めつけられてきた私の故郷「東京」の痛みを静かに共有させていただきます。それでも、つづく

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