まちかど音楽コンサート

「わが町ゆったり まったりコンサート」、いわゆる「まちかど音楽コンサート(まちコン)」が開催された9月23日、会場となった美容室ドロップアウト(南区大磯通)前の駐車場には、音楽好きな若者や近所のおじさま、おばさま方が集まった。主催は「ドロップアウト」を経営する野々村繁さん。自身もフルートやギター、ボーカルなどオールラウンドミュージシャンでもある。

この日は美容室前の路上が音楽ステージに早変わり。クラシックやハワイアン・ディズニーの曲などを演奏したり、ビートルズ・エルビスプレスリーの曲を奏でるバンドや三味線演奏など、さまざまなジャンルの演奏家が集まり、駆けつけた観客を楽しませた。

さて、ある報道機関が年間に有料コンサートに行く回数の調査を行ったところ、70%の人が年に1回も演奏会に行かないという結果が出たそうだ。そこで野々村さんは、音楽を楽しんでいる人だけでなく普段生演奏を観たり聴いたりしない方々にも身近な場所で生の音楽に触れ、心豊かな時間を過ごすことができる機会を創出したいと、観覧無料の音楽イベントを年に1回開催している。

また、初めて音楽に触れる方々への配慮も欠かさない。演奏者による楽器や演奏曲の説明を入れることで、初めて参加していただいた方にも音楽をわかりやすく伝える。

課題は「音」。昨今、子どもの声がうるさいなど、音に対して過敏な反応を示すことが少なくない中、近所の方々の理解は欠かせない。幸い、町内会あげて「まちコン」のご支援をしていただいており、苦情の声は現時点では全くないとのこと。

「屋外でのクラシックコンサートを開催して多くの方々にクラシックを楽しんでほしい。」「路上ライブを開いて街中の人々と一体になって盛り上がりたい。」そんな声をよくいただく。今後、「まちコン」をまちのあちこちで展開していくためには、「わが町ゆったり まったりコンサート」の成功体験をいかに一般化していくのか、また、近隣住民との対話を通して、音楽への理解を深めていくのかが課題。その延長上に、音楽を日常的に楽しむことができる心豊かな社会の実現がありそうだ。