名古屋城天守閣解体許可申請を強行 名古屋市

文化庁2「石垣や地下遺構の調査がまだ行われておらず、現況把握ができていない中での工事計画において、石垣への影響が軽微であるという結論が導き出されているのは承服しがたい。そのような調査を実施するための職員も不足しており、現天守閣解体に関する工事計画を推し進めることは容認できない。」石垣の専門家による有識者会議「特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会(石垣部会)」が反対する中、河村市長は、現天守閣を解体する工事に必要な現状変更許可申請を、4月19日、文化庁に対し強行提出した。

石垣部会の構成員は、千田教授(奈良大学)、赤羽非常勤講師(愛知淑徳大学)、宮武教授(佐賀大学)、西田名誉教授(関西大学)、北垣名誉教授(石川県金沢城調査研究所)など日本の石垣研究の第一人者ばかり。石垣部会委員は、今日まで、「特別史跡名古屋城の本質的価値は石垣にある。」「市が進める計画では石垣が棄損しかねない。」「石垣は、内部に空洞があるなど構造的に危機的な状況にあり、解体や修理は待ったなし」「石垣の調査が不十分。建物を先にして、石垣の修理や保全を後回しにするのは適切でない」との意見を繰り返し市に訴えてきたが、市がその意見を封殺したまま今回の申請をおこなったことで、名古屋市に対する文化庁からの信頼を大きく失ってしまったのではないかと危惧している。

文化庁さて、天守閣を解体する工事に必要な現状変更許可申請は、今後、文化庁の手を離れ、外部の有識者で構成される文化審議会で審議される。ただ、文化審議会の構成員である有識者は、石垣の専門家である石垣部会委員の意見を参考に解体を許可するのか否かを決することになることが想定され、厳しい結果が出ることは容易に想像がつく。

5月に開催される文化審議会の日程について文化庁に尋ねたところ「公表していない。」との回答。また、解体許可の見込みについても「何も言えない。」と固く口を閉ざしたまま。なお、6月には申請に対する回答が文化庁から名古屋市に伝えられる見込み。

仮に厳しい結果となった場合、河村市長は再び木造復元完成時期をアジア競技大会が開催される2026年など、さらに延長する可能性が高いが、いま求められているのは、文化庁や石垣部会からいただいている石垣保全に向けたさまざまな「宿題」をひとつずつこなし、木造復元に向けて一歩ずつ前に進むこと。このような乱暴な仕事の進め方では、いつまでたっても解決にはつながらない。
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横井利明
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