通園バスの取り残しだけじゃない
9月5日、静岡県牧之原市の認定こども園で3歳の女の子がおよそ5時間にわたって通園バスの車内に取り残され、熱中症で死亡した。胸が締め付けられるような思い。心からお悔やみ申し上げるとともに哀悼の意を表します。
保育園や認定こども園を運営する私どもの法人では、児童の通園にはバスは使っていないものの、園外保育等でバスを利用することがあることから、今回の事件を他山の石として園の安全対策を総点検する必要があるものと考えている。
さて、今回は通園バス車内への取り残しが問題になっているが、保育室への取り残しやトイレへの取り残し、園庭への取り残しなど、各地で同様の事故が起こっている。私どもの法人でも短い時間だったため事故にはならなかったものの、かつて同様の事故が発生しており、保護者や該当児童に謝罪するとともに、名古屋市への事故の届け出をしたことがある。
事故が発生する原因は、決められたマニュアル通りに児童の管理を行っていないことが原因。通常、児童がトイレや運動場に移動するときには、
① 保育室で人員の確認
② 運動場に出て人員の確認
③ 運動場で遊んだ後、運動場で人員の確認
④ 保育室に戻って人員の確認
がマニュアルで決まっている。トイレに行くときも、ゆうぎ室に行くときも園外保育に出かけるときも同様の確認を行うことが決まっている。しかし、園児のひとりが具合が悪くなり対応に追われるなど、突発的な事態が起こった場合にはなかなかマニュアル通りにいかないのも事実。そんなときには保育士の経験やスキルがあれば対応可能だが、そうではない場合には十分な対応ができないこともありうる。
今大切なことは、全国で発生しているであろうさまざまな取り残し事例を調査によって洗い出し、些細な事故であってもヒヤリハットとしてまとめ、その上で全国の保育士とも共有し、再発防止策として生かすことが重要だと考えている。もう2度とこういった悲しい事故を起こさないためにも。