年々低下する敬老パス交付率 名古屋市

名古屋市の敬老パス交付率の低下が止まらない。

高齢者の方が気軽に外出し、地域社会との交流を深め、豊かで充実した生きがいのある生活が送れることを目的に発行される敬老パス制度は、本人の介護保険料段階により1,000円または3,000円または5,000円の負担金を支払うことにより、1年間、市バス、地下鉄等に無料で乗車することができる仕組み。令和4年2月1日より、新たに名鉄、JR東海及び近鉄の鉄道の市内運行区間、名鉄バス及び三重交通の路線バスの原則市内運行区間でもご利用いただけるようになった。

対象交通機関が拡大するなど制度が充実する名古屋市の敬老パスだが、全国的な流れは真逆。

京都市は敬老パス制度を抜本的に見直し。これまで所得に応じて、負担ゼロから最高1万5000円の負担で20万円分まで乗り放題だった「敬老優待乗車証制度」を、令和3年10月から、「70歳受給を段階的に75歳に引き上げ」「利用者の負担額を引き上げ」「所得制限を設け年間所得700万円以下を対象」という見直しがなされた。また、札幌市、仙台市、大阪市のように、乗車時に少なくとも1割を負担する制度へと見直す自治体も増えている。千葉市は5年前に制度を廃止。また、さいたま市、新潟市、静岡市、岡山市には敬老パス制度はない。ただ名古屋市も全く見直しが行われていないわけではなく、令和4年2月1日より年間の無料乗車回数を730回に制限している。

さて、敬老パスに一部負担金を導入した平成16年度における敬老パス交付率は全市で74.3%だったが、その後、年々低下の一途をたどり、令和3年度には全市で52.9%まで低下した。低下傾向には依然歯止めはかかっておらず、さらに交付率は低下する可能性がある。ただ半数の方々しか交付を希望しない敬老パス制度に145億円もの一般財源を投入していることに対して、さまざまなご意見をいただいているのも事実だ。

■ 敬老パス交付率の推移(名古屋市)
平成16年度 74.3%
平成17年度 71.6%
平成18年度 69.3%
平成19年度 67.7%
平成20年度 66.8%
平成21年度 65.6%
平成22年度 64.2%
平成23年度 64.0%
平成24年度 63.2%
平成25年度 62.3%
平成26年度 61.4%
平成27年度 60.9%
平成28年度 59.4%
平成29年度 59.4%
平成30年度 58.7%
令和元年度 58.4%
令和2年度 55.0%
令和3年度 52.9%

また、区別の交付率にも大きな差がある。地下鉄東山線沿線の交付率の高さが際立つ一方、地下鉄路線の少ない市南西部の交付率が低迷している。なお、南区は長年交付率が最下位だったが、敬老パスの対象交通機関に名鉄やJRを加えたことで最下位を脱出した。

■ 敬老パス区別交付率【令和3年度】
1. 千種区 63.5%(79.8%)
2. 名東区 60.7%(80.6%)
3. 昭和区 60.0%(76.9%)
4. 東区 59.6%(76.1%)
5. 天白区 57.5%(78.3%)
6. 瑞穂区 56.6%(76.9%)
7. 中区 55.4%(73.9%)
8. 熱田区 54.8%(74.3%)
9. 中村区 52.4%(72.6%)
10. 北区 52.1%(75.8%)
11. 西区 50.6%(74.0%)
12. 守山区 50.5%(71.9%)
13. 緑区 48.2%(71.1%)
14. 中川区 47.1%(70.9%)
15. 南区 46.5%(70.1%)
16. 港区 46.4%(71.4%)
全市 52.9%(74.3%)
※ (  )内は一部負担金制度を導入した平成16年度

市民の中にも不公平感のぬぐえない敬老パス制度。市民の財産であるこの仕組みを今後、しっかりと継続していくためにも不断の見直しや改善が望まれる。
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横井利明
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