緑被地とは樹木や草で覆われた土地のことで、名古屋市では農地や水面も緑被地としている。平成2年から5年毎に実施している「緑の現況調査」で緑被地を継続して調査している。令和2年度の調査では、航空写真を用いて10平方メートル以上の緑被地を抽出した。
公園をはじめとする緑地は、都市環境の改善、都市の防災性の向上等に寄与するだけでなく、地球温暖化の防止、ヒートアイランド現象の緩和、生物多様性の保全による良好な都市環境の提供のほか、震災・大火においては、震災時の避難地、避難路、延焼防止、復旧・復興の拠点となりうる。さらに、子どもからお年寄りまでの幅広い年齢層の自然とのふれあい、レクリエーション活動、健康運動、文化活動等多様な活動の拠点ともなる。
しかし、名古屋市の緑被地の調査を開始した平成2年に9,731haあった緑被地面積は年々低下。令和2年には7,021haまで減少した。緑被率も29.8%から21.5%に低下している。
さて、従来名古屋市は、緑被率の向上などみどりを「保全」することに重点を置いてきた。もちろん、みどりの維持など重要な視点ではある。一方で、今後は、ただ単にみどりを保全するだけではなく、すべての市民の皆様がみどりを「活用」するといった視点も重要となりそうだ。「保全から保全と活用へ」。そのためにも、みどりの多面的な効果を引き出していくこととともに、事業者、NPO法人、地域団体等とのパートナーシップを求めながらみどりの活用を進めていくことも重要な視点となるだろう。