幼稚園・保育園等における送迎バスの保有状況

静岡県牧之原市の認定こども園で、送迎バスの車内に3歳の園児が置き去りにされ、熱射病で亡くなった事件は、私たち保育・教育に携わる者にとっても、大変衝撃を受けるとともに、悔やんでも悔やみきれない事件だった。昨年7月にも、福岡県中間市の保育園で同様の事件があり、厚生労働省などが安全管理の徹底を求めていたさなかだっただけに残念でならない。

こういった事故は、いくつもの不適合が積み重なっておこるもの。一般的な児童福祉施設では、バスの運転手は運転後、車内に取り残された子どもがいないか子どもたちが水筒やハンカチ等忘れていないか確認するようマニュアルに定められている。また、送迎車には保育士が同乗し、乗車児童名をチェックするとともに、降車時に児童数をその場で確認する。保育室においても、児童の点呼は欠かさない。欠席の場合は保護者に確認の電話を入れる。何重にもチェック体制が組まれており、何か一つの確認を怠ったとしても、一般的には事故は発生しにくいものだ。今回の事故はそれら不適合が同時に重なったものと考えられる。

こういった事件が後を絶たないことから、政府は、令和5年4月から全国の保育園や幼稚園などの送迎バス合わせて4万台余りに、エンジンを止めた後、大人が車両の最後部まで行かないとブザーが鳴り続けるといった装置を義務付ける方向で調整しており、仕組みによって事故を未然に防ぐのはひとつの良案。歓迎したいとは思うものの、機械頼みだけでは事故は無くならないことも肝に銘じておく必要がある。

さて、名古屋市内の幼稚園・保育園・認定こども園で送迎バスを保有する、または運行委託する施設は170か園、312台にものぼる。その多くは幼稚園となっている。

■ 名古屋市内の児童施設数
・保育園 431園
・認定こども園 92園
・私立幼稚園 137園
・名古屋市立幼稚園 21園
※ 保育園等は令和3年度、幼稚園は令和4年度

■ 保育園・認定こども園における送迎バスの保有・運行台数
・保育園 14台(13園)
・認定こども園 60台(42園)
・私立幼稚園 238台(115園)
・名古屋市立幼稚園 0台(0園)
※ 保育園等は令和3年度、幼稚園は令和4年度

ただ、子どもの取り残しは送迎バスだけで発生するわけではない。園内トイレや運動場、ゆうぎ室などでも発生する可能性がある。場合によっては園外保育先でも事故の可能性がないわけではない。各幼稚園、保育園、認定こども園では、危機管理を職員研修に組み込むとともに、二度とこのような事故が発生しないよう場面ごとに事故発生のシミュレーションをしっかりおこなってほしいもの。
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横井利明
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