名古屋市の河村市長が建設を一時凍結した「名古屋陽子線治療センター」を施工した日立製作所が、工期の遅れに伴う追加費用3億8,200万円の支払いを市に求めた訴訟(名古屋市も日立を別訴)は、証人尋問等も終わり、そろそろ終盤戦を迎えている。裁判長としても大枠は固まっているものとみられ、どのように処理するかという段階に入ったと考えられる。
一方、証人尋問で新事実も出ており、裁判長がどう受け止めたかによって判決に少なからず影響を与えそうだ。今後、結審ののち、裁判長から和解の提案がなされる可能性は残されているものの、判決となった場合、その時期は春ごろになるのではないかとみられている。
ただ、河村市長が判決を受け入れる可能性は低いだろう。河村市長はかつて市と日立との間で進めていた裁判外紛争解決手続き(ADR)を拒否。決裂した経緯もあり、市の負担がゼロにならない限り、控訴する可能性が高い。
「名古屋陽子線治療センター」では日立製作所の技術者と名古屋市西部医療センターの医師や看護師、放射線技師等が協力して患者の治療にあたっている一方、日立と名古屋市が法廷で争うといった歪な構図となっている。河村市長を支えるはずの減税日本ナゴヤ市議団も損害賠償の責任は市長にあると表明しており、河村市長自身も崖っぷちであることは間違いない。1日も早く争いを決着させ、治療に専念する環境を構築すべきだと思うのだが...