名古屋市信用保証協会融資実績は令和2・3年で9,280億円

名古屋市信用保証協会は、信用保証協会法に基づき、中小企業や小規模事業者の円滑な資金調達を支援することを目的に設立された公的機関。

創業者や中小企業などが市中の金融機関に借入申込みをする際、大企業と比較して経営リスクが大きいため、返済可能性をはじめ信用面でのハードルが高く、事業者が考えているような資金調達が難しい場合が少なくない。しかし、公的機関である信用保証協会が事業者の債務保証をすることで、市中の金融機関からの融資を受けやすくなる。

具体的には、信用保証協会の債務保証があると、金融機関の融資先事業者の倒産などにより借入金返済が困難になった場合でも、信用保証協会が金融機関に残債を代位弁済(肩代わりして返済)するので、金融機関は貸付金の債権回収ができる。この制度によって、金融機関は中小企業者などへ融資がしやすくなる。

■ 名古屋市信用保証協会融資実績
令和2年度 8,166億円
令和3年度 1,115億円

令和2年度に融資実績が激増した背景には、新型コロナによる感染拡大で売り上げが減少するなど資金繰りが厳しくなった企業や事業所が多数に上ったこと、また、今後の経済見通しを考え、手元資金を確保しておきたいと考える企業が少なくなかったことが考えられる。

そして、何よりもゼロゼロ融資が融資実績を押し上げた。新型コロナウイルス感染症の拡大で売上が減った企業を支援するため、金融機関に支払う利子は公的機関が3年間負担し、返済できない場合も信用保証協会が肩代わりする、実質無利子(利子ゼロ)・無担保(担保ゼロ)が行われ、保証協会を利用する企業が激増した。

令和2年度にゼロゼロ融資を受けた企業・事業所は名古屋市内だけでも32,373社にのぼる。他に愛知県信用保証協会や国の融資機関である日本政策金融公庫、名古屋市小規模事業金融公社等から融資を受けた企業を入れると、おそらく市内の約半数の事業所が借り入れをおこなったと推測されているが、過度な融資を受けた企業も少なくなく、今後、返済ができない企業が相当数に上る可能性がある。

一方、令和3年度に融資実績が大幅に減少した背景には、新型コロナによる売り上げ減少が一服ついたことや、ゼロゼロ融資の上限いっぱいである6,000万円まで借り入れが進んでしまった企業が多いことがある。今後、ゼロゼロ融資の反作用が限定的なものとなるよう、確実な経済対策を進める必要があるだろう。
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横井利明
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