一方、近年の自然災害の頻発により、災害時、電源喪失しても利用できる公衆電話の必要性は大きくなっている。
今から12年前の東日本大震災の際、東京都はじめ東日本各地で大規模なインフラ障害が発生した。家族や知人の安否を確認しようと一斉に携帯電話を使ったため、大規模な通信障害が発生。そのとき多くの人が求めたのは、災害時につながりやすい公衆電話だったことは記憶に新しい。
今後、総務省は2022年度から10年かけ、市街地に設置されている公衆電話の数をさらに減らす方針だ。従来の市街地での設置基準は「500メートル四方に1台」だったが、これを「1キロ四方に1台」に変更。最終的には4分の1から5分の1程度に減らすとのこと。
確かに私自身もここ数年、公衆電話を使った記憶もなく、通信事業者にとっても採算の取れない事業であることは十分理解できる、しかし一方で、災害時の利用を考えた時、公衆電話があることへの安心感は強い。名古屋市は、大規模災害発生時における被災者の通信手段確保のため、主要な避難所である市立小中学校等において、特設公衆電話の回線を設置し、無料で災害時でも優先的につながる電話機を防災備蓄倉庫に配備しているものの、数が少なく市民が殺到する可能性もある。
採算性と災害時における安心感の両立。難しい課題だが国や自治体の支援で両立ができないものか。
■ 公衆電話数(名古屋市内)
平成28年度末 3,136台
平成29年度末 3,043台
平成30年度末 2,933台
令和元年度末 2,773台
令和2年度末 2,552台