2026年に愛知県・名古屋市で開催されるアジア競技大会で、名古屋港区に建設予定の「選手村」の計画を断念すると大村知事が表明した。建築費やエネルギーコスト、人件費等大会開催経費が膨れ上がる中、身の丈に合った対応を選択した知事の決断は大英断といっていい。また、コロナ禍で苦しむホテル業界にとっても今回の決断は間違いなく追い風となるだろう。
もちろん東京オリンピックにおける日本人選手の活躍はすばらしかった。アスリートの活躍に一喜一憂し、そこにいたった個々の選手の汗を感じながら観戦するテレビ中継が、本当に楽しみだった。
しかし、その余韻も冷めやらぬ中、東京大会のスポンサー選定にからみ、大手広告代理店などの不祥事により、スポーツ大会に対する世論は非常に厳しいものとなっている。また、オリンピック貴族に流れている多額の開催経費についても多くの市民が知ることとなった今、オリパラやアジア競技大会に対する市民の視線は厳しいとみるべきだ。
オリパラやアジア競技大会に対するマイナスのイメージは、企業スポンサーにも大きな影を落としているのが現実。大会組織委員会や愛知県がアスリートファーストを貫き、そして徹底した無駄を省く姿勢を示さない限り、アジア競技大会の成功はない。「選手村」の断念のみならず、徹底した見直しを進め、未来型のオリパラ、アジア競技大会の姿を示したいもの。