ルーブル・アブダビ

IMG_5160海外で初めてフランス・パリのルーブル美術館の名を冠する美術館「ルーブル・アブダビ美術館」を視察した。

「アラブ世界初の世界に通じる美術館」とされ、約600点を展示する。アブダビの中心から至近であり、世界最高峰の文化施設が集まるサーディヤット島に開館している。

IMG_5210同美術館はUAEとフランス両国が協働した国家プロジェクトにより建設された美術館で、「ユニバーサル美術館」というコンセプトの下、異なる地域の作品を並列的に展示している。現在、多くの観光客を集める観光資源として、また都市魅力の向上に貢献している。

パリのルーブル美術館との契約も破格だ。2037年までの名称の使用料は4億ユーロ(約530億円)。その他、専門知識・技術の提供や作品の貸し出し、展示会の企画などを含めると、30年契約の総額は10億ユーロ(約1320億円)。また、「ルーブル・アブダビ美術館」の建設に1500億円、さらに美術品の購入費として年間50億円を予定するという。

IMG_5169一方、名古屋市にもボストン美術館の名を冠した美術館が2018年10月8日まで開館していたが、契約により、展示資料はすべてボストン美術館から借り受けるシステムとなっていた。しかし、貸出作品はすべてボストン側が選定する契約になっていたことから、名古屋側が希望した浮世絵などの人気作品ではなく、日本にはなじみの薄い作品ばかりが展示された。その結果、20年間でアメリカへの寄付5,000万ドルのほか、年間多額の赤字を出し閉館してしまった苦い過去がある。

美術館の設置は都市魅力の向上にとどまらず、都市の品格にもつながる。名古屋には文化施設が少ないとの声もある中、どのような手法で文化施設の誘致を図ることができるのか、また持続可能なのか、課題が残った形となった。
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横井利明
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