「紙おむつ持ち帰りなし」報道の波紋 (2)

公立保育園における「使用済み紙おむつの持ち帰りを園内処理に変更すればすべて解決」のような風潮に対し、危惧を抱いているのは、「布おむつ」に取り組む民間保育園のみなさん。トイレトレーニングは赤ちゃんにとって極めて重要な「学習」であることは言うまでもないが、そのためには布おむつの使用が極めて効果的であることは広く知られている。しかし、「だれが負担するのか」といった本質論ではないところで議論が終始し、子どものための議論が全く展開されない現状に危機感を抱いている。

さて、民間保育園では「布おむつ」を使用している保育園がかなり多い。一昨日おこなわれた保育園長で構成される保育勉強会でも、「布おむつ」の方が子どもの発達や情緒の安定には望ましいとの意見が多数を占めた。

■ 布おむつのメリット
・赤ちゃんのお肌はとってもデリケートであり、紙おむつによっておむつかぶれを引き起こす赤ちゃんも多い。肌触りのよい布おむつをはかせる方が、赤ちゃんのおしりにもやさしい。

・布おむつは、紙おむつと違い、おしっこをした時の不快感を赤ちゃんはダイレクトで感じることになる。そのため、赤ちゃんはその不快感を泣いてお母さんにすぐに伝える。これを繰り返し行うことによって、その不快感の要因を自分で理解しおむつにおしっこをする前にお母さんに知らせるトレーニングにもなり、おむつはずれが早い。

・赤ちゃんのおむつが外れるまでに出る紙おむつのゴミの量は、一般的に、赤ちゃん1人当たり2トンとされている。

■ 市内某民間保育園の布おむつの実際
布おむつはリースで保育園側が準備。保護者は布おむつカバーを洗濯するだけであり、労力の負担はほとんどない。また、布おむつのリース料として保護者負担が月2,000~5,000円ほど必要になるものの、紙おむつ購入費より安い。保育園から保護者に対し、家庭でも布おむつを使ってほしいという要請もしない。そして、布おむつは紙おむつのようなごみの処理費は基本かからない。一方、布おむつはリース契約のため、保育士にとっても布おむつを洗ったりするなどの手間は不要だ。

報道によると、ここ数年で、公立保育園で使用済み紙おむつの持ち帰りをやめ、園内処理に切り替える自治体が増えている。仮に名古屋市が公立保育園における紙おむつ処理費を公費負担した場合、民間園の対応はどうなるのか、布おむつに取り組む保育園は個人負担のままなのか公費負担なのかといった負担のあり方論もさることながら、子どもにとって望ましい「おむつ」のあり方にも議論がいたることを願うものだ。
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横井利明
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