令和2年度予算(10) セクショナリズムが急速に進行

令和2年4月スポーツ市民局が発足する。

「本市では、平成12年4月に局の再編を実施し、指定都市の中でも最も簡素な組織体制を実現した。局長の権限が拡大され、また、仕事が大変忙しくなった。施策の総合的な推進が図れるようになってきたと認識している。さらなる局の再編について、再々編については、行政組織は簡素で効率的な市政運営の観点から点検・検証すべきものだ。今後とも、時代に合った組織を目指して引き続き努力する。」

平成17年6月議会において松原市長は、6局を減局した局の再編・統合について、以上のように述べている。当時、松原市長が目指したのは「簡素で効率的な行政の実現」。行政目的の類似性、同質性に応じた組織の大くくり化により、施策の連携や一元的執行を図り、総合的な行政の展開を図ろうとした。

一方、河村市長は真逆の手法をとる。5年間で3局の増設は名古屋市の歴史の中でも特異なこと。一方で、局の統廃合は進まず、市役所の肥大化が年々進んでいる。

■ 局の改廃(過去5年間)
平成18年度 子ども青少年局の新設
平成20年度 病院局の新設
平成27年度 防災危機管理局の新設
平成28年度 観光文化交流局の新設
令和2年度 スポーツ市民局の新設

■ 平成11年度以降の局数の変遷
平成11年度 21局2室
平成12年度 15局2室1大学 ◀平成の大再編(松原市政)
平成18年度 16局2室
平成20年度 17局2室
平成27年度 18局2室
平成28年度 19局2室
令和2年度 20局2室

河村市長が進める部局割拠、いわゆるセクショナリズムの弊害は、集団・組織内部の各部署が互いに協力し合うことなく、自分たちが保持する権限や利害にこだわり、外部からの干渉を排除しようとする排他的傾向を生みやすいことだろう。このような傾向の顕著な例が「縄張り意識」や「派閥主義」で、自分たちが担当する職務に関して、他の部局の人間が関与することを嫌い、組織全体の利益・効率性を無視して自分たちの都合ばかりを優先する。また、自らが担当する職務以外に関心が薄く、専門外のことは避けようとし、専門以外のことはほとんど知らないという傾向も顕著となる。

名古屋市では、セクショナリズム進行の弊害を解消するため、組織横断的に各部局からメンバーを選抜して協力させる「プロジェクト」を発足させるという方法を多用している。しかし、このようなプロジェクトも参加メンバーに対して、通常業務との掛け持ちで過度の負担を強いることも少なくなく、結果として組織の機能不全を招いている。

予算議会において、なぜ名古屋市が組織の肥大化とともに、事業目的局の新設という市の組織のセクショナリズムを進めようとするのか、その結果、どんな名古屋市の未来像を描くのか、活発な議論を通して河村市長の政治姿勢を問うことが必要だ。
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横井利明
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